東京魚チング

フグとは言っても無毒なフグ

 八丈島では夏になると、浜遊びを楽しむ。この時、無くてはならないものにフグ汁がある。泳いだあとに、暑い暑いと言いながらすすりこむ。雪のなかで、寒い寒いと言いながら食べる東北のジャッパ汁とは味も対照的でさっぱりしているが、日本人は四季折々に鍋物を楽しむ。ところで、このフグ汁の原料「イシガキフグ」だが、先日、来島された方からフグなのに毒は無いのかと問われた。八丈近辺にも多くのフグが生息している。「フグ毒」は学問的にはテトロドトキシンと言われる物質によって引き起こされるが、このフグ毒を持つ魚類はツムギハゼという魚を除いて、すべてマフグ科の魚に限られる。さて、問題の「イシガキフグ」は分類学上、本当のフグではない。つまり、マフグ科の魚ではなく、近縁のハリセンボン科の魚である。ただ、フグと言う名が付けば、すべてに毒があるように思えてまぎらわしい。同じように、「ハコフグ」や「ウチワフグ」も正真正銘のフグではなく、従ってフグ毒もない。九州や南方の島々では食用にしているところも多い。形はグロテスクだが、切り身にしてしまえば判らない。もともと、これらの魚は蛋白質に富み、脂肪分が少なく、白身で味がよい。表皮についているハリを除けば、すべて可食部と言ってもよい。野菜などと併せて食すれば栄養満点で夏の猛暑をのりきるためには最適なです。来島された方は、ぜひ一度ご試食あれ。mu

back

もどる