東京魚チング

シマアジは回遊魚か?

 「シマアジは回遊魚」だろうか。回遊とは、餌を求めての索餌(さくじ)や繁殖のための産卵、あるいは越冬のために移動することである。代表魚は、マグロ、カツオ、サケ、ブリ等で、これらの魚は体も大きく紡錘(ぼうすい)形で、いかにも俊敏に大洋の表中層を回遊する。これとは対照的に、カレイやヒラメは海底に着きやすい縦偏(じゅうへん)形である。そして、中間型というべき、マダイやカサゴなどの側偏(そくへん)形がある。この他にウナギやアナゴなどの延長(えんちょう)形を加えて、魚には合計4 種類の体形がある。人間でも長距離ランナ−と柔道選手の体形が異なるのと同様、魚でも種によって生活に適した体形をしている。さて、シマアジの体形は側偏形である。以前にシマアジの胃内容物を調べたら、小さな巻貝やウニの残骸がみられ、岩場や砂地の海底を餌場にしているようだ。釣れる水深も二百メ-トル未満だから、これ以深に住むとは考えにくい。体形や食生活から、カツオやマグロのように、海の表中層を広く、長距離を回遊できる魚とは思えない。八丈島は数年前から、漁協や町、都が小笠原父島から人工シマアジ種苗を活漁船で運び、放流を続けている。放流後、魚がどこか遠くへ行ってしまうとお考えの方も多いようだが、八丈島では、数十マイル沖は二百メ-トルよりも深く、さらにその沖は深さ数千メ-トルの海溝( かいこう)がある。広く、長距離を回遊できないシマアジのような魚には,この海溝がバリアとなって遠くへは行かないと考えられている。ところで、シマアジの英名はStriped jack。jackは英語でアジ、すなわち縞模様のあるアジという意味ですが,あの鮮やかな黄色の線はタテ縞かヨコ縞か、皆さんはどちらとお思いでしょうか? 答えは下の写真で!mu
シマアジ養殖生け簀写真
写真・シマアジ養殖生け簀

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