奥多摩分場ニュース
第52号  平成11年 3月25日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
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多摩川の放流アユ不漁原因究明調査
 本調査は、昨年2月に東京都内水面漁業協同組合連合会からアユに対する新たな緊急課題として要望されたものです。そこで、奥多摩漁協組合員の協力を得て、放流アユの生態や生活状況等を把握し不漁原因を探るため、4月から調査を進めてきました。調査は11年度も実施することになりますが、今年の結果の概要についてお知らせします。
<放流アユの移動分散・斃死状況>
 潜水による黙視やハミ跡(摂餌の痕跡)の観察、標識放流(脂鰭切除)等により調査した結果、放流後5日間位は放流地点付近にほとんど分散せず群棲していました。この時期、付近にハミ跡が見られないことから餌を取っていないと考えられます。分散が始まるのは5〜10日後位でハミ跡も見られるようになりました。
アユのハミ跡写真
アユのハミ跡
その後次第に分散し、放流後1ヵ月程でアユは黙視できなくなり、6月20日の解禁直前(放流後約50日)の潜水調査では河川全域にわたりハミ跡がたくさん見られ、広く分散しているものと考えられました。しかし、アユが確認できた場所は淵部(約100 〜200 尾の群アユ)のみで瀬部には全く見ることが出来ませんでした。最も多く死魚を確認した時期は、分散が始まり、餌を取り始めるころと一致していました。
<魚病検査結果について>
 4月から9月まで、放流時のアユと放流後の死魚や弱ったアユ、合計254 検体を調べましたが、冷水病の原因菌やその他の病因菌は全く検出されず、今回は病気による斃死の可能性は少ないと推測されました。しかし、検体の約20%に鰭基部や口吻等に発赤が見らました。斃死の原因はハッキリしませんが、発赤症状と輸送等のストレスや摂餌の有無との影響は否定できないと考えられました。
<今漁期の釣獲状況>
 奥多摩漁協組合員31名によって、漁期間中(約90日)197 回の釣獲(友釣)調査で得られた、合計1,217 尾の旬別釣獲状況を見ると、解禁直後が最も良く釣れ、7月下旬に向かい徐々に釣れなくなり、また、8月に入り釣れ始め、さらに9月の終了期まじかに釣れていました。この釣獲状況の変動については過去との比較データを持っていませんが、今漁期は台風等による増水が大きく影響したことが考えられました。(つづく)
養魚汚泥の簡易沈着槽
―小河内漁協の飼育池で効果確認―
 検討を続けてきた養魚汚泥の簡易沈殿槽を小河内漁協飼育池に導入し、約1年間調査してきました。簡易沈殿槽は既設の沈殿槽( 8×4×1m )に、写真のように二列設置したものです。飼育池の総面積は115 m2、総排水量は 2.5〜6.5 m3/分ですが、整流板や越流板の高さ等を改良することにより、100%に近い汚泥を沈殿させることができました。
沈澱処理層写真 沈澱処理層図
図 沈澱処理層
沈澱処理層サイズ(/槽)
8m長×2m幅×1m深
サクラマスを見つけてください
 水産試験場では、平成6年からサクラマス復活の研究を進めてきました。今回、サクラマスになり得る性質を持つスモルトの出現率を15%まで高めることに成功し、その一部(200尾)を多摩川丸子橋下流に放流しました。放流魚は全て脂鰭と尻鰭を切除してあります。早いものは5月頃に遡上する可能性があります。再捕の時はご連絡下さい。
サクラマス図 <連絡先>
水産試験場資源管理部
     ( 03-3433-3253 〜4 )
e-mail  tosuisi@muh.biglobe.ne.jp

東京都内湾漁業環境整備協会
     ( 03-3458-2771 )
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