奥多摩分場ニュース
第63号 平成12年10月3日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
TEL(0428)85-2028・FAX(0428)85-1509
全国湖沼河川養殖研究会開催される!
 全国湖沼河川養殖研究会の全国大会が8月31日〜9月1日の2日間、岡山市で開催されました。
 この研究会は大正8年から開催されている、全国組織の内水面水産業に関する技術会議です。今回は73回目の大会となり、「魚をはぐくむ河川のすがた」を統一テーマとして開催されました。会議では高橋裕 東京大学名誉教授の基調講演がありました。高橋氏は河川工学を通じて、日本の河川行政に長年係われた経歴があり、その経験を踏まえて「20世紀におけるわが国の河川事業と今後の展望」と題して講演されました。
 その要旨は「明治期の1896年に河川法か公布され、主要河川において近代的治水事業が始まり、長年洪水を防ぐことを中心に事業がおこなわれた。1964年には新河川法により治水、利水が河川開発の柱となり、日本の高度経済成長とともに水資源開発が重要国策となった。1997年には河川環境の整備と保全が加わり今後の河川整備は治水・利水とともに河川環境の保全が重要な柱となる。」とのことでした。
 また、「1896年以降、治水事業が強力に実施され、国土基盤の確立に貢献したが、そのため、河川はきわめて人工化され、水域の水質もおしなべて悪化、河川生態系が破壊される例が多く、河川景観も悪化した。」と述べ、「21世紀においては、河川施設にのみ依存する治水からの離陸、水源の多様化と水資源の開発と保全が大切であり、洪水、水利用に対する意識を変化させ、地球規模の水危機、地球環境の認識が必要である。」と説明がありました。
 今後は「魚が住む豊かな河川環境」の創出を流域住民と話し合いながら作っていくべきとのご意見でした。
 また、話題提供として、地元建設省の岡山河川工事事務所から「個性を活かした岡山の川づくりを目ざして」として、県内での「魚が生息し、人と水辺の交流をはかる。」河川工事事例の紹介があり、全国内水面漁連からは「漁業から見た河川環境」として河川環境が魚の生息にきわめて悪くなっている現況の報告がありました。内容として河川の通常流量の減少、治水工事による生息場の悪化・遡上量の減少、カワウや密放流のブラックバス等による食害等を列挙されました。このなかで魚類の遡上可能である河川横断物は8,624のうち32.1%の1,165であることが報告されました。
 中央水産研究所からは「多様で豊富な淡水魚を生む河川環境−生態学的視点から」を農業水路の調査結果、人工河川の試験結果を解析して、個体数、バイオマス、種多様度、大型魚率等の豊かさは、それぞれ必要とする環境が異なること等が発表されました。
 魚道に関しては多摩川でも徐々に整備されており、大丸用水堰、昭島用水堰等の魚道は昨年度完成し、12年度には秋川の小庄用水堰や13年には多摩川の白丸ダムの魚道も完成します。徐々にではありますが、魚が遡上しやすい川になってきています。一日も早アユやサクラマスの自由に遡上する多摩川、秋川の復活を望みたいものです。
図1
図1.魚ののぼりやすさからみた河川横断施設の概略点検結果
建設省河川局
「奥多摩やまめ」21世紀夢の技術展に出演
 7月21日から8月6目までの17日間、日本経済新聞社の主催で「21世紀夢の技術展」が東京ビッグサイトで開催され、「奥多摩やまめ」が水槽展示されました。
 この技術展は「ゆめテク」の愛称が示すとおり、大人から子供まで楽しみながら夢の技術を体験できる科学・技術の展覧会で、「奥多摩やまめ」は新世紀に「花開く科学・技術の最新成果」として展示、紹介されました。
 この技術展は「情報・通信」、「環境保全」、「生活基盤」、「宇宙・海洋開発」及「生命科学」の5つの分野に分かれ、そのうち「生命科学」の分野で農林水産省先端技術のコーナーで水槽展示されました。開催期間中の会場は猛暑と人々の熱気で暑く、冷水魚なので心配されましたが、2基の冷水機の活躍で、水槽内を元気に泳ぐ「奥多摩やまめ」の前は大本から子供まで多数の人が集まるなど盛況であったそうです。

back
もどる