奥多摩分場ニュース
第69号 平成14年3月29日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
TEL(0428)85-2028・FAX(0428)85-1509
ヤマメ発眼卵埋設 放流の取り組み
毎年春になると、多摩の山深い、多摩川、秋川の源流部にヤマメの発眼卵を埋設放流した籠を回収に行きます。本年は、2月16日、3月16、17日の3日にわたり、奥多摩湖流入河川と秋川の支流に行って来ました。本年の今までの結果はいずれの河川も良い結果となっており、ほぼ100%のふ化率となっています。4月14日には残りの多摩川、日原川の支流に回収に行く予定ですのでその後には全ての結果が出そろうこととなります。
  この、ヤマメ発眼卵埋設放流は、平成10年から多摩川上流部の奥多摩漁協、小河内漁協、氷川漁協の放流事業の一環として実施され、それ以前からヤマメ発眼卵の自主放流を行っていたJFF(ジャパン・フライ・フィッシャーズ)
東京都勤労者つり団体連合会、東京渓流釣人倶楽部の三団体が放流作業をボランティアとして行い、水産試験場奥多摩分場が技術指導を行うという二機関と3つの釣り団体合同での実施となったものです。
 このようになる以前から釣り団体による自主放流が行われていましたが、このようなスタイルとなったのは、@漁業権のある河川の増殖事業は漁協の責任で行うべきであること。A釣り団体には長年の自主放流の経験があり、放流は川と魚を知る良い機会であること。B河川上流に病原菌を待ち込まないこと。C多摩川の純粋な天然ヤマメを守るため、放流場所も限定する必要があること等の理由によります。このようなことで水産試験場奥多摩分場で生産した多摩川産ヤマメ発眼卵を漁協は購入、または自家採卵した多摩川産ヤマメの発眼卵を、釣り団体と漁協が共同で埋設放流するという現在のスタイルができました。また、毎年10月には、関係者が集まって河川や魚についての勉強会を兼ねて、放流事業の成果と結果を検討し、その年の放流河川や計画を話し合います。 そして、11月中下旬には発眼卵埋設放流を行っています。
 このように「水産資源の増殖」をするものと、その「水産資源を利用する釣り人」との話し合い・交流の場として「ヤマメ発眼卵埋設放流」は貴重なものと思います。今後とも、このような良い関係が深まることを期待しています。

図1.平成13年11月18日発眼卵埋設放流地点
サクラマスを放流しました!!
 平成14年3月22日、多摩川下流部(調布取水堰の下流部)に銀毛ヤマメ(海に降りるとサクラマスに成長できるヤマメ)年魚を400尾放流しました。また、昨年の12月11日にも4,200尾放流しています。これは、東京湾や多摩川にサクラ
マスを増やすために試験・放流をおこなっているものです。サクラマスは川の上流部で生まれたヤマメのうち、海に下って大きく育ち、サケのように川を遡り、産卵して一生を終える魚です。
 かつては、ごく普通に東京湾や多摩川で見ることができた魚とのことですが、水質の悪化や魚道の無い多くの堰等の影響により、その姿を見ることができなくなりました。しかし、近年、多摩川のアユの復活に続いて、東京湾や多摩川で少数ですが再びその姿を見ることができるようになりました。
 サクラマスはとても美味しい魚として知られており、富山の「マス寿司」の材料として有名です。また、釣りの対象としてもそのきれいな魚体と強烈な引きからとても人気のある魚です。
 今回放流したのは平均で全長17cm、体重39gでした。これが川に再び遡上する頃には全長30cm、体重600〜1,800gが期待されます。放流した魚は目印として脂鰭を切断してあります。のサクラマスを捕獲された方は是非ご一報ください。粗品を進呈いたします。
           連絡先 東京都水産試験場奥多摩分場
                      電話0428−85−2028 (担当 斉藤修二)
                東京都水産試験場資源管理部
                      電話 03−3433−3254 (担当 工藤真弘)

平成5年東京湾で捕獲されたサクラマス

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