(普及指導資料 040826)

水産試験場「お魚教室」開催

酷暑が続く中の8月19日、恒例の「夏休みお魚教室」を葛西臨海水族園で開催しました。 「お魚教室」は、「私たちの生活と魚」をテーマに小学校4年生以上の子どもと保護者を対象として、体験学習型イベントとして毎年夏休みに行っています。 第5回目となった今年は、「キンメダイのひみつをさぐろう!」をテーマとして開催しました。午前10時の開始時間は、交通機関の乱れで少し遅れましたが昨年を上回る68名の参加がありました。 教室では、知識満載の「キンメダイの生態と漁業」、魚体の仕組みを解剖して理解する「キンメダイのからだをしらべてみよう!」、生きている姿をジックリ観察「キンメダイの泳ぎを観察してみましょう!」、卵や稚魚、プランクトン、耳石もみられる「実体顕微鏡を使ってみよう!」の4つのコーナーを体験しました。 葛西臨海水族園の巨大なドーナツ型水槽「アクアシアター」で生きているカツオやマグロ、キンメダイやムツなどの深海魚、珊瑚礁の魚たちの泳ぎを詳しく観察して泳ぎ方がどう違うかを比較しました。水槽の裏側(広いバックヤード)を見学して魚飼育の秘密ものぞきました。午後3時過ぎに解散した後は園内を自由に観覧して盛りだくさんのイベントは無事終了しました。

当日の写真

キンメダイの生態と漁業

画像1 キンメダイの生態と漁業(1)

葛西水族園のレクチャールームに集合しました。

画像2 キンメダイの生態と漁業(2)
画像3 キンメダイの生態と漁業(3)

最初の学習は「キンメダイの生態と漁業」からでした。キンメダイは世界中に広く分布していますが、とりわけ伊豆諸島は日本で最大のキンメダイ漁場です。深い海で産まれたキンメダイの卵はオレンジ色の油球を持っており、海面まで浮いてきてふ化します。仔稚魚は海の中層で生活します。海底で生活し始めた若いキンメダイは背びれが一本長く伸びて「糸引きキンメ」と呼ばれます。その後4班に分かれて学習しました。


キンメダイのからだを調べてみよう!

画像4 キンメダイのからだを調べてみよう!(1)
画像5 キンメダイのからだを調べてみよう!(2)

キンメダイの大きな目はわずかしか光の届かない深海で、少しでも多くの光を取り込んでものを見るのに都合良くできています。さらに網膜には、鏡のように光を反射するしくみがあり、取り込んだ光を効率よく利用できるようになっています。
口はガバッと大きく開いてエサを飲み込みます。キンメダイ、マダイ、マイワシの歯とサイハの構造を指でさわって比べました。胃の中には何が入っていたかな?
胸びれを動かす筋肉はずっと泳ぎ続けるマグロと同じ赤い筋肉です。胸びれを支える骨は「キンメのタイのタイ」で、マダイの「タイのタイ」より大きく頑丈です。よほど激しく胸びれを使っているようです。

画像6 キンメダイのからだを調べてみよう!(3)

魚の頭には「耳石」があって体の向きを感じ取っていますが、年齢をしらべるのに使われます。写真下にあるペンチで骨を切って三半規管から耳石を取り出しました。


キンメダイの泳ぎを観察してみましょう!

画像7 キンメダイの泳ぎを観察してみましょう!(1)

キンメダイの水槽は暗くて写りませんでした。上の写真は大水槽のマグロです。
キンメダイは胸びれを鳥のようにあおって前に進み、すばやく方向転換しています。ダッシュする時は尾びれを使いますが、それ以外は胸びれが主な推進力になっているようです。胸びれの筋肉が赤いのは一生動かし続けるためと言われています。隣の水槽のスポッテッドラットフィッシュ(ギンザメの一種)も同じ泳ぎ方でした。そういえばサンゴ礁の魚も同じような泳ぎをしていませんか?

画像8 キンメダイの泳ぎを観察してみましょう!(2)
画像9 キンメダイの泳ぎを観察してみましょう!(3)

水槽を維持する装置がたくさんあるバックヤードも見学しました。海水をろ過する装置の大きいことにビックリ。マグロの泳ぐ大水槽も上からのぞいて説明を聞きました。


実体顕微鏡を使ってみよう!

画像10 実体顕微鏡を使ってみよう!(1)
画像11 実体顕微鏡を使ってみよう!(2)

キンメダイの卵とハマトビウオ、サンマとカタクチイワシの仔魚、プランクトンを実体顕微鏡で観察しました。耳石の年輪の数は何本だったでしょう?


無事終了!

画像12 無事終了(1)

お世話になった福田園長さん。持っているのは死んだ展示魚から作った肥料(堆肥)です。

画像13 無事終了(2)

記念品はキンメダイのウロコを封入した栞です。