アシタバ
セリ科 Angelica keiskei
学名の由来は、Angelica(アンジェリカ) は、ラテン語の「angelus(天使)」が語源、Keiskei(ケイスケイ) は、明治初期の植物学者「伊藤圭介」に由来
伊豆諸島の各島で生産されており、生葉のほか、健康食品やお菓子などさまざまな加工品として出荷されています。
アシタバと明日葉
アシタバは、「明日葉」と書きます。この名は、発育が速く、摘んだ翌日には新しい葉が出るということから付けられました。
野生のアシタバ
野生のアシタバは、山や路肩、海岸線の少し陰の所にいます。島の人たちは、山のものが美味しいといって、採りに行くこともあります。野生種は、畑のものと違い、軸の部分が緑色や赤色だったり、葉が尖っていたり丸みがあったり、様々な個性を見せています。
畑のアシタバ
畑のアシタバは、播いた翌年から数えて2年ほど収穫されます。最初、晩秋の11月ころに畑に播かれて6週間くらいで発芽します。春が近づき、暖かくなってくると急に成長します。そして梅雨ころには立派な形となります。初夏と秋が収穫の最も多い季節となり、みなさんがスーパーなどで手に取ることができるようになります。
発芽時期のアシタバ畑 |
アシタバの発芽 |
十分に生育したアシタバ畑 |
アシタバ根元 |
収穫風景 |
収穫部分の若葉(中央) |
注目されるアシタバ
アシタバは、いま、大きな注目を集めている野菜です。それは、アシタバにはカルコンという他の野菜には含まれていない成分があるためです。
カルコンとは
カルコンは、アシタバの葉や軸を切るとにじみ出てくる黄色の液体(下の写真参照)で、トマトの赤色やニンジンの黄赤色に関係する、アントシアニジンやカロチン等と同じ色素の一種です。
カルコンの生理活性
カルコンは、キサントアンゲロールと4ヒドロキシデリシンの主要2成分の総称で、様々な生理活性が証明されています(表1)。
キサントアンゲロール |
4-ヒドロキシデリシン |
表1 カルコンの生理活性作用(大阪医科薬科大学 馬場きみ江 名誉教授 提供)
- 抗菌作用
特にグラム陽性菌のうち病原性の強い黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、ルテウス菌に強い抗菌作用があります。皮膚の化膿した時に効果があります。 - 抗潰瘍作用
ストレスなどが原因の胃潰瘍に効果があります - 胃酸分泌抑制作用
胃酸過多で日頃から、胃の調子の良くない時に効果があります。 - 抗血栓作用
血小板凝集を抑える作用があります。血液が固まるのを抑える作用です。脳梗塞、脳血栓などの生活習慣病の予防に効果があります。 - 抗アレルギー作用
I 型アレルギーの評価に用いられているヒスタミンの遊離を抑える作用があります。アトピー性皮膚炎などに効果があります。 - 血管弛緩作用
末梢血管を拡張する作用があるので、血液の流れを良くし、血圧の高めの人にも効果があります。 - ガン転移抑制作用
ガンの増殖を抑えたり、転移を抑える作用があります。
東京都の取り組み
東京都島しょ農林水産総合センターで、これまでに伊豆諸島に自生するアシタバを分析し、カルコン含量が平均的なアシタバより2~3倍高い素材を選び出しました。この素材を基にカルコン含量が高く、収量も多い優良なアシタバの品種改良を進めていきます。