(普及指導資料 030909)

水産試験場・葛西臨海水族園共同企画

8月22日(金曜日)水産試験場と葛西臨海水族園との共同企画であるワークショップが開催されました。小中学校の先生を対象に、総合学習での両施設の活用をアピールし、施設を身近に感じてもらうことを目的としたこの企画は、局の垣根を越えて共催されるという点で非常に画期的なイベントとなりました。
当日は都内の小中学校の教諭52名が参加しました。午前中、水産試験場に集合し「鰹の生態と漁業」を全員で聞いた後、グループ学習で鰹について学習しました。午後は葛西臨海水族園へ移動して、大型水槽の中を泳ぐ鰹類とマグロ類を珊瑚礁の魚などと比較しながら観察しました。最後に学校における施設利用の方法などを参加者、主催者全員で話し合いました。先生たちは熱心に研究員の説明に耳を傾け、時には専門的な質問が飛び出すなど、非常に意欲的に参加されていました。

「鰹の生態と漁業」

画像1 鰹の生態と漁業(1)

画像2 鰹の生態と漁業(2)

全体会では鰹の回遊経路や、八丈島での鰹漁業についてレクチャーを受けました。ご存じですか?東京都の管轄する海域は東京湾から小笠原村の沖ノ鳥島を含めて、日本の200海里水域の45%を占めています。東京都の総漁獲量の30%は鰹です。八丈島の曳縄漁でとれた鰹は巻き網で捕れた鰹と違い、高級品です。

このコーナーでは、八丈島で使用されている漁具や八丈島から直送された氷蔵した新鮮な鰹、メジマグロ、アオダイ、カワハギなども展示して、実際に手に取ってみました。 画像3 鰹の生態と漁業(3)

「鰹の食利用」

画像4 鰹の食利用(1)

画像5 鰹の食利用(2)

鰹の食利用の代表は鰹節です。鰹節削り機を用意してさっそく、懐かしい先生、初めての先生に削っていただきました。これが意外に難しく、「シュッシュッ」と良い音できれいに削るに時間がかかりました。

鰹節の製造工程をパネル展示でレクチャーを受けました。生切り→かご立て→煮塾→骨抜き→ばい乾→修繕→ばい乾→日干し→削り→カビ付けの過程を経て、完成までに4~6ヶ月も要します。専門的な質問には説明する研究員も冷や汗をかく場面もありました。 画像6 鰹の食利用(3)

「鰹を解剖しよう!」

画像7 鰹を解剖しよう!(1)

画像8 鰹を解剖しよう!(2)

グループ毎に3kgを超える新鮮な鰹を用意して3枚におろし、肉の色や内臓、えらを詳しく観察しました。鰹の体側に胸びれを収納するくぼみがあること、背びれが背中にすっぽり収まってしまうことがわかりました。

赤身の筋肉はずっと泳ぎ続けるのに適した筋肉で、血合いはエネルギーを補給する第2の肝臓であることが説明されました。対して白身の筋肉は瞬発的な動きに適した筋肉です。底にじっとしていて急に餌に飛びついて食べるヒラメやアンコウが白身であることが理解できました。 画像9 鰹を解剖しよう!(3)

「鰹を観察しよう」

画像10 鰹を観察しよう(1)

画像11 鰹を観察しよう(2)

鰹の体重を量ったり、体長(尾叉長)を測ったりして予想とずいぶん違うことがわかりました。鰹を参加者に回して歯、舌を観察し、鱗の採集を体験しました。

鱗や耳の中の小さな石(耳石)を使って年齢や日齢を調べる方法の解説がありました。鰹の小さな鱗を採集して顕微鏡で見てみました。 画像12 鰹を観察しよう(3)

海上バスで葛西臨海水族園へ

画像13 海上バスで葛西臨海水族園へ(1)
画像14 海上バスで葛西臨海水族園へ(2)
画像15 海上バスで葛西臨海水族園へ(3)
画像16 海上バスで葛西臨海水族園へ(4)
画像17 海上バスで葛西臨海水族園へ(5)
画像18 海上バスで葛西臨海水族園へ(6)

海上バスで葛西臨海公園に移動して葛西臨海水族園水族園に向かいました。色々な水槽で魚を観察したり、バックヤードを見学した後、レクチャールームで午前中の講義と午後の観察を通しての質疑や今後の教育現場にどう活かしてゆくかなど総合討論を行いました。