伊豆・小笠原諸島海域における貝類分布 [15293KB pdfファイル] 

西村 和久
伊豆・小笠原諸島周辺海域の貝類(軟体動物)226科2,299種を記録した。内訳は、ヒザラガイ類7科38種、腹足類138科1,781種(77.5%)、斧足類34科433種(18.8%)、ツノガイ類5科15種、頭足類13科32種である。77.5%を占める腹足類はクダマキガイ科113種、アクキガイ科113種、イモガイ科112種、ニシキウズ科94種、タカラガイ科75種、ホソアラレキリオレ科66種で、この6科で腹足類の32.3%を占めている。この6科はいずれも南方種の多いグループである。
 このうちタカラガイ科の出現種数は、南方種の指標として扱われることが多く、波部(1985)は沖縄63種、奄美65種、高知県54種、和歌山県55種、相模湾24種、福島県4種、岩手県1種と整理し、北上するほど種類数の減ずることを明らかにしている。なお、フィリピンでは80種程が記録されている。
 西村(1998)は本海域のタカラガイ出現数について、伊豆諸島67種(大島30種、新島35種、神津島31種、三宅島41種、八丈島66種)、小笠原諸島52種(父島51種、硫黄島18種、南鳥島24種)とした。
 この海域の貝類分布は黒潮や黒潮反流、マリアナ海流が絶え間なく送り込んでくる幼生が沈着する時の環境条件に強くコントロールされていると言える。

調査研究要報 211 1999年3月