【背景・ねらい】

ハワイの伝統舞踊であるフラ(ダンス)は今やすっかり日本に定着し、愛好家は100万人規模と言われています。フラを踊る際には、首や腕などにつけるレイという飾りが必要で(図1)、レイの材料にはレイ・プランツと呼ばれる植物が使われます。レイ・プランツにはティ(コルディリーネの一種)、イシカグマ、マイレなど様々な種類があり(図2)、これらを組み合わせることで色彩豊かな美しいレイを編むことができます。フラブームによってレイ・プランツの需要は高まっていますが、国内での栽培実績はほとんどなく、愛好家は海外からの輸入品などを利用しているのが現状です。

 東京都八丈島・青ヶ島は、温暖な気候を活かして、古くから観葉植物や切り葉の生産が盛んな土地柄です。この伝統技術を活かし、レイ・プランツを島の新しい特産作物とすることを目指して、当センターではレイ・プランツの栽培研究に取り組んでいます。

【成果の内容・特徴】 

  

① 島の栽培環境に向くレイ・プランツの探索

 レイ・プランツはハワイに自生する植物であるため寒さに弱く、暖かい気候を好みます。そこで、レイ・プランツの中で、人気の高い8種類を収集して島内で試験栽培したところ、ティとイシカグマを含めた5種類が島の気候に適合しており、島内での栽培が可能であることが分かりました。

② イシカグマ等の生産技術の開発

 イシカグマはシダ類であるため、品質確保や効率的な生産のためには一定の遮光が欠かせません。そこで、栽培に適した遮光の検討を行ったところ、50%の遮光では需要の多いLサイズ以上の葉が多く収穫できることが分かりました(図3)。

また、ティは、レイのほかにスカートとしても使われるため、葉が大きいものが求められます。収穫方法を検討したところ、収穫時に全ての葉を取らず、1株につき1枚残して収穫することで約5割が、需要が高いLサイズ以上になることが分かりました。

(成果の活用と反映)

~栽培技術のマニュアル化~

 ティとイシカグマでは、上記の試験に加えて様々な栽培試験を行うとともに、収穫後の保存・調整法や病害虫の調査などを行いました。さらに、これまでの成果を暫定の栽培マニュアルとして冊子にまとめ、普及指導センターを通じて生産者に配布しました(図4)。

 

【成果の活用と反映】

 今後も様々なレイ・プランツの栽培技術を確立し、栽培マニュアルの充実を目指します。(中田亜由美)

 

八丈レイプランツ