【背景・ねらい】

 

大島における園芸農家の主力作目は切花と切葉ですが、夏季には花き類の市場価格が低下するため経営を圧迫しています。そこで「カメリア」では夏季の補完的な収入源を確保すること、新たな特産品を作り島の活性化に貢献することを目的として、平成22年秋から休耕中のハウス等でパッションフルーツの栽培を開始しました。この活動に対し、大島普及指導センターでは、栽培方法の指導や販売方法について支援を行いました。

 

【成果の内容・特徴】 

 

①栽培技術指導

 平成22年春に「カメリア」からパッションフルーツの栽培に取り組みたい旨の相談を受け、大島普及指導センターでは、伊豆諸島の他の島と同様に「秋の定植、無加温のハウス栽培」の導入を薦めました。夏に挿し木苗作りの講習会等を行い、秋には「カメリア」会員のハウスで定植の講習会を行いました。その後定期的に栽培技術の指導を行いました。

大島の冬は他の島より気温が低く、パッションフルーツでは想定外の霜害が発生しました(写真1)。しかし、春以降は順調に成育し、目標である7月中旬~8月下旬に出荷にこぎつけました。 この時期は、大島では2~3月の椿祭りの時期と並ぶ観光シーズンです。

②本格的な生産を向かえて販売を支援

 平成24年度のパッションフルーツの出荷は、7月下旬からはじまり9月中旬ごろまで販売することができました(図1)。生産品の販売は、船客待合所内の売店や農産物直売所、農家の庭先などで行いました(図2、写真2)。販売面でのコスト低減のため、「カメリア」がフルーツキャップ等の資材をできるだけ安く調達し、大島普及指導センターがパンフレットや出荷箱のデザイン作成に協力するなど支援を行いました(写真3)。その結果、販売価格を低く抑えられ、観光客にとって購入しやすくなりました。島民からも「安くておいしい」と好評を得ました。 

 

【成果の活用と反映】

平成24年度の結果から「カメリア」では今後パッションフルーツ栽培に取り組む生産者を増やし、生産量の拡大を目指します。大島普及指導センターでは、パッションフルーツの安定生産のため、冬季の低温障害に対応し、2重カーテンの設置や加温対策など、栽培方法の改善について指導していきます。また、一般的な平棚仕立てから、生垣つり下げ仕立てへ技術改善に取り組み、農作業の軽減を図ります(写真4)。販売面では、島内向けの利用や、島外への販路開拓の支援を行うなど伊豆大島での特産品として生産拡大を支援していきます大島売り上げ  

 大島パッション