【背景・ねらい】

 

「菊池レモン」は、昭和15年に菊池雄二氏によりテニヤン島から八丈島へ持ち込まれたレモンで、マイヤーレモンの一系統とされています。「菊池レモン」は、普通のレモンと異なり、果肉の酸味が穏やかで、果皮に独特な良い香りがあります。さらに樹上で完熟させることで機能性成分を多く含む果皮は苦味が少なく甘みをおび、皮ごと食べられる特徴があります。当事業所では、盛土の根域制限による早期成園化と低樹高栽培を目的に試験を行いました。また、「菊池レモン」の果実特性を更に引き出すために適正着果数の検討や収穫時期、栽培管理方法の研究も行っています。

 

【成果の内容・特徴】 

  ① 生育に関する試験

1) 平成23年3月に約30cmの挿し木苗を表1に示す諸条件で植えたところ、すべて  の試験区で半年後に主枝長が1.5m程になりました。根域制限区でも定植後、1年目 までは直植え区と同程度の生育を示しました。

2) 定植1年後以降、直植え区と比較すると根域制限区で幹の太さや骨格となる主枝の生長が抑えられました。特に盛土100L区では樹形を乱す生育旺盛な枝が発生せず剪定が不要で、樹体がコンパクトになることが分かりました。

② 開花に関する試験

1) このうち盛土をネットで覆った根域制限の100L区(写真1左)では、平成23年11月に開花が見られ、平成24年の6~8月(国産レモンの端境期)に完熟の夏果を収穫することが出来ました。

2) 平成24年の春からは他の試験区でも開花が見られましたが、盛土をネットで覆った根域制限区で花房数は顕著に多く、特に用土にバーク堆肥を用いた区で多くなりました。さらに、それらの区では同年の10~12月にも開花が確認され、引き続き翌年の夏季に出荷出来る可能性が示されました。

③ 果実の品質向上に関する試験

摘果を行って着果数を制限し果実を大きくした結果、果皮が厚くなることが分かりました(写真2・図1)。冬季に収穫する果実(冬果)は300gを超えました。

【成果の活用と反映】

  

今後は得られた成果を活用して八丈島の生産者に栽培技術の向上を図っていきます。また、果皮が甘みをおびる収穫時期の判断の方法について検討を行い、より高品質な果実生産に向けて試験を行っていきます。生育状況表

 

 

果実比較レモン栽培比較

レモン比較