【背景・ねらい】

  

コルディリーネは、白、赤、黄色などの鮮やかな葉色が魅力の切り葉で、三宅島では盛んに栽培されており、島内で作られた「ミヤケアカネ」という品種もあります(図1)。コルディリーネの栽培はビニルハウスを用いて行われており、5月に苗を定植して秋以降に十分に生育したものを収穫しています(1年株)。収穫後も、株を3~5年維持し、2年株以降は毎春株元から発芽する新しい芽を生育させ収穫するという栽培体系がとられています。

 草丈の大きさがコルディリーネの商品価値を決める重要な要素であることから、草丈を大きくする栽培条件を明らかにしました。また、コルディリーネ栽培では、出荷時に葉先枯れを切り取る作業に手間がかかり、出荷量を制限する要因となっていることから、葉先枯れを低減させる栽培技術の確立を目指しました(図2)。

【成果の内容・特徴】 

 

① 土壌水分の影響(可販率の向上)

  土壌中の水分量がコルディリーネの草丈に及ぼす影響を、テンシオメーターを用いて調査しました。その結果、1年株では高水分条件(pF2.0以下)で維持すると、一般的な出荷基準である草丈70cm以上に生育する株が増え、可販率が向上しました(図3)。また、2年株では、低水分条件(pF2.3)においても11月には高水分条件(pF1.7)とほぼ同じ可販率が確認されました。さらに、pF1.7で維持すると生育が促進され出荷時期を1ヶ月以上早めることができました(図4)。つまり、コルディリーネ栽培では土壌のpF値を適切に管理することで草丈が大きくなることが明らかになりました。

② マルチの利用(生育の促進)

  地温を高める効果のあるマルチを利用すると、1年株では草丈が無処理区に比べ低くなりました(図5)。しかし、収穫後刈り払いをした2年株では春の発芽が1ヵ月早まるため初期生育が促進され、収穫可能時期が2週間早まりました(図6)。

③ 被覆の効果(葉先枯れの低減)

  ビニルハウス内の温度が低下する10月から12月の夜間に保温効果のあるアルミ蒸着フィルムによるトンネル被覆を行うと生育がより改善され、葉先枯れが低減しました。マルチと併せて利用すると、より効果的に葉先枯れを低減できました(表1)。

  

 

【成果の活用と反映】

  コルディリーネの栽培向上には、土壌水分管理と低温時の保温が有効であることがわかりました。今後は、試験研究の成果の普及を目指して、島内農家の圃場における実証試験を行い、島内農家向けの発表会を通じて情報提供を行います。

  

 コルディリーネ結果