【背景・ねらい】

   利島の油糧ツバキは、江戸時代から栽培され全国有数のツバキ油の生産量を誇ります。一方、ツバキ油の製造過程で搾油かすが年間35~70t排出され産業廃棄物の扱いとなってきました。大島事業所では、JA東京島しょ利島店、農林総合研究センターと共に、ツバキ搾油かすの堆肥化に取り組みました。

   本格的なツバキ搾油かす堆肥製造施設の建設を前に、ツバキ搾油かす堆肥の特徴や施用効果、使用方法等の基準を作るとともに用途拡大を推進するため、島内供給に向けたエダマメ栽培に使用し、堆肥の施用方法や慣行堆肥との比較を実施しました。

  

【成果の内容・特徴】

① 生育調査

  生育調査では、ツバキ搾油かす堆肥(以下、ツバキ堆肥区)と市販慣行堆肥(以下、慣行堆肥区)をそれぞれ250㎏/a施肥した区を設け、アゼマメ在来種を用いたエダマメ栽培を行い、ツバキ堆肥と慣行堆肥の比較を実施しました。比較測定項目の、草丈、分枝数、葉数においてツバキ堆肥区と慣行堆肥区で、差はありませんでした(表1)(写真1、2、3)。  

② 収量調査

  ツバキ堆肥区と慣行堆肥区で、莢数、重量及び品質について調査しました。その結果、両区において生育差は認められませんでした(表2)。

③ ツバキ堆肥の効果

  ツバキ堆肥を慣行堆肥と比較したところ、エダマメ栽培では差が認められませんでした。試作堆肥製造試設(写真1)では、年間約4tのツバキ堆肥を生産しています。関心を持った農家がツバキ堆肥を使い始めています。野菜栽培での効果が確認されたことから、次第にツバキ園への使用も期待できます。

 

【成果の活用と反映】

  利島では、ツバキ搾油かすを試作堆肥製造施設で市販慣行堆肥と同様の堆肥として製造できるようになりました。

  今後は、ツバキ搾油かすの堆肥化に向け、試作堆肥製造施設から省力化が可能な適正規模の堆肥製造施設の建設とツバキ園等に還元できる仕組みづくりを進めていきます。

(三田  一也)


利島のツバキ搾油かすを有効利用