【背景・ねらい】

   クラウンフラワーはガガイモ科の低木で、小花の中心にある冠のように見える部位がクラウンと呼ばれ、レイに使用される花材の一つです。基礎的な栽培知見が少なく、生産や出荷のために花の諸形質について調査が必要でした。そこで、新たにクラウンフラワーを栽培し出荷するために、花の形態や収穫適期など基本的な事項を調査しました。

  

【成果の内容・特徴】

① 花の特徴

 開花前後の花を観察し生育経過を調査しました。花は散形花序で(図1-A)、蕾は横からは台形(図1-B)、上からは5角形(図1-C)でした。開花直前には切れ込みが入り(図1-D)、開花すると5枚の花弁に分かれ、クラウンと呼ばれる部位が現れました(ステージ1、図1-E・F)。開花から2時間ほどで花弁は水平になり(ステージ2、図1-G)、さらに2時間ほどで花弁の先端がねじれました(ステージ3、図1-H)。開花から24時間が過ぎると花弁は下垂し(ステージ4、図1-I)、開花後15日くらいから褐変し始めました(ステージ5、図1-J)。

② 収穫適期

 開花ステージ4の期間は約14日あり、目視では開花後の時間がわからないので、開花直前から開花ステージ3の花を収穫するのが良いと考えられました。

③ 収穫後の保存期間

 収穫した花を、室温、冷蔵(4℃)および冷凍で保存し、特性を調査しました(図1)。

 室温では、ステージ2~4で収穫した場合、3日でクラウンの褐変が始まりました。ステージ0と1で収穫した場合、褐変が始まったのはそれぞれ12、6日後でした。開花ステージ0でも6日後には花弁が傷み、室温での保存・出荷は望ましくないと考えられました。冷蔵では、3週間後に花弁が傷み、4週間後に褐変し始めました。蕾を水で満たし冷蔵した場合、5週間後に少し退色した程度で、1年以上たっても外観4まで退色したものの、レイに使うことが可能でした。冷凍した場合、退色し、柔らかくなり、2週間後には使用不可能となりました。

 

【成果の活用と反映】

   以上の試験結果から、クラウンフラワーの花の特徴、花の収穫適期および保存可能期間が明らかになりました。これらの試験結果を生産現場で活かし、レイプランツの生産拡大を進めていきます。

(鈴木 克彰)

新しいレイ・プランツの特徴