【背景・ねらい】

 大島で栽培されているオオサヤエンドウの在来種は、従来品種より草丈が矮性で作業性に優れ、莢の
形状等において優良な形質を持つといわれています。しかし、草丈や分枝数、着莢数のばらつきなどが
あることが指摘されています。
 そこで、大島在来のオオサヤエンドウの特性を評価し、収量性、品質、収穫の早晩性・作業性に優れ
る系統を選び、優良特性固定化の確認を行いました。  

【成果の内容・特徴】

① オオサヤエンドウの収集と選抜
 大島事業所で栽培していた大島在来オオサヤエンドウ480 個体を基本集団としました。その中から、草丈250 ㎝以下、早期収穫、上物収量、収穫盛期の莢長10 ㎝以上を基準に優良系統を選抜しました。選抜した1系統「19」(写真1)を慣行品種「シルキー大莢(以下、シルキー)」と比較栽培し特性を
評価しました(写真2)。
 結果、選抜系統「19」の収量は、基本集団の平均より2倍以上高い特徴を持っていました(表1)。また、「シルキー」より収穫開始節位が10 節以上低く、早期収穫でき収量も高いことが分かりました。さらに、草丈および莢長は、選抜年ごとにばらつきが小さくなり、選抜の効果が確認できました。
② 選抜系統の固定化の評価
 選抜系統「19」の10 個体(2015 年度栽培:A~J)、基本集団および「シルキー」を栽培し、形質の値、数値のばらつき程度から選抜効果を評価しました。
 結果、「19」の草丈は、A~Jのいずれも250 ㎝未満であり、収量は、基本集団の約2倍でした(図1)。また、分散分析の結果、草丈、収穫開始節位、収量および莢長において、A~J間で有意差は認められませんでした(表2)。これらの平均値はすべて評価基準に適合しており、選抜系統「19」は、
大島在来オオサヤエンドウの選抜基準を維持していることが分かりました。

【成果の活用と反映】

 選抜系統「19」は、市場価格が比較的高いとされる12 ~1月に高い収量が期待できるため、普及に向けた現地実証試験を行い、現場普及を進めていきます。

(大根田 順子)

 

 新たに選抜したオオサヤエンドウの特性評価