多摩川だより2号 奥多摩湖の魚類相調査を実施しました

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奥多摩湖

 

  奥多摩湖(小河内貯水池)は、都民の水がめとして昭和32年多摩川を小河内ダムにより堰き止め湛水した東京都水道局管理の人造湖です。小河内ダムは多摩川河口より89kmに位置し、その集水域は東京都と山梨県にまたがります。

 奥多摩湖湛水以前にこの地域で生息が確認された魚類はスナヤツメ、ニホンウナギ、ヤマメ、アマゴ(移入種)、ウグイ、アブラハヤ、カジカの7種類で、湛水後に増殖を目的として放流された12種の魚類以外にも、混入による移入などがあり、これまでに31種の魚類が確認されています。

  

平成27年奥多摩湖調査

 東京都では、奥多摩湖の魚類相の変化を把握するため、3年に1度、刺網を主体とした調査を実施しています。

 平成27年の調査は、9月16日午後に奥多摩湖留浦浮き橋左岸側(図1)にて三枚網12反(4,6,14,20節)、ワカサギ網2反(24,26節)、ビンドウ7ヶを設置し、翌17日午前に網揚げを行いました。

図1 調査地点 

図1 奥多摩湖概略図と調査地点の留浦浮橋

 

  結果、17種894尾の魚類、2種2個体のエビ類を採集しました。

 種類別にみると、スゴモロコ(773尾)が最も多く、次いでホンモロコ(64尾)、ウグイ(24尾)、ギンブナ(15尾)、ワカサギ(11尾)の順に多く採集しました(写真1)。

写真1スゴモロコ

  スゴモロコ

写真1

 ホンモロコ

写真1 ウグイ

ウグイ

写真1 ギンブナ

ギンブナ

写真1 今回の調査で採集された主要魚類

 

 その他、ヌマチチブ、カマツカ、ヤマメ、ニジマス、コイ、ナマズ、オオガタスジシマドジョウ、ウキゴリ、ヨシノボリ属、ブルーギル、オオクチバス、スジエビ、テナガエビを少数採集しました。

 奥多摩湖堪水以前から生息していた魚類は、ウグイとヤマメのみです。ブルーギル、オオクチバスについては特定外来生物に指定されています。

   

魚種組成の変化

 奥多摩湖堪水以降の魚類相調査では、ウグイ、オイカワ、ホンモロコ、ワカサギの4種類が主体となっていましたが、今回の調査では前回(平成24年)の調査で初記録となったスゴモロコが優占種となり、その急激な増加が伺われます。一方で、前回調査に引き続き、オイカワについては採集できませんでした。また、ヤマメは16年ぶり、アユは19年ぶりの採集となりました。ブルーギルについては本魚類相調査では初記録となりました。