多摩川だより3号 浅川の魚類相調査を実施しました

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浅川

 浅川は、八王子市陣馬山に源を発し、八王子市および日野市を流れ、多摩川に合流する全長30.2kmの一級河川です。
 多摩川と同様に、高度経済成長期に水質が悪化するとともに、落差工や堰堤により縦方向の連続性が分断され、多くの魚が見られなくなりました。しかし、流域の漁協による魚類の増殖に向けた努力、下水道や魚道の整備により、河川環境が改善し、近年では、清流の女王とも呼ばれるアユが多数みられるとの声が上がっていました。

  

平成28年度 浅川魚類相調査

 そこで当センターでは、浅川の魚類相の実態を把握するため、本年度より調査を開始しました。
 調査は、11月9、10日に新井橋から陵北大橋までの4地点、2月6日に支流の醍醐川の計5地点で行いました(図1)。魚類を採集し、各種の測定を行った後、採集現場にて速やかに放流しました。

図1 浅川魚類相調査地点 

図1 浅川魚類相調査地点

 

  結果、22種493尾の魚類を採集しました。種類別にみると、アブラハヤ(139尾)が最も多く、次いでオイカワ(103尾)、アユ(51尾)の順に多く採集しました(図2)。

図2 今回の調査で採集された主要魚種

図2 今回の調査で採集された主要魚類

  

 その他、ニホンウナギ、ヤマメ、ウグイ、ムギツク、カワムツ、カマツカ、コイ、ギンブナ、ゲンゴロウブナ、ニゴイ、タモロコ、モツゴ、シマドジョウ、ホトケドジョウ、ギバチ、ナマズ、カジカ、カワヨシノボリ、ムサシノジュズカケハゼを採集しました。
 国が指定する絶滅危惧種、東京都の指定する絶滅・準絶滅危惧種も含まれ、希少かつ多種の魚類が生息していることが明らかとなりました。

   

賑わう浅川 

 流域では「浅川アユまつり」、「ふるさと川まつり」等が開催され(図3)、浅川が都民の憩いの場、レクリエーションの場、学習の場になっていることが伺われます。
 当センターでは、今後、定期的に調査をする方針で、次回は3年後を予定しています。内水面水産資源の回復および漁場環境の再生に関する施策に必要なデータを集めていきます。

図3 8月「浅川アユまつり」にてパネル展示

図3 8月「浅川アユまつり」にてパネル展示