ドジョウ


標準和名

ドジョウ

学名

Misgurnus anguillicaudatus (Cantor)

地方名

マドジョウ(全国)

分類

コイ目、ドジョウ科、ドジョウ属

形態

体は細長く伸長形。全体に褐色を帯びる。背部から体側に不規則な斑紋があり、腹部は無斑。10本の口ひげをもち、このうち6本は上唇にある。最大体長は15cm程度。

分布

北海道から琉球列島に至る日本各地、およびアムール川から北ベトナム、サハリン、朝鮮半島、台湾、海南島、ビルマのイラワジ川に分布する。東京では多摩川、荒川、江戸川水系などの中流から下流域および水田とその用水路などに生息、自然繁殖している。
 この他のドジョウ科魚類としては、最大体長13cmほどのシマドジョウ Cobitis biwae Jordan and Snyder (地方名:スナドジョウ)が河川の上流から下流域に広く生息する。また、最大体長5cmほどのホトケドジョウ Lefua echigonia Jordan and Richardson (地方名:オババドジョウ)は中流域の湧水流などに生息している。奥多摩湖では、琵琶湖産アユ稚魚に混入して放流されたと思われるスジシマドジョウCobitis sp. の採集記録がある。

生態

東京での産卵期は夏季。普通オスとメスがペアーになって泥底に産卵する。この際、オスはメスの体に巻き付き産出卵に放精する。卵径は1mmから1.5mm前後。水温20℃で2日ほどでふ化する。ふ化仔魚の体長は3mm程度。ふ化後1年で体長は8cmから10cm程度、2年で10cmから12cm程度に達する。メスの方が大型になり、普通満2年で成熟する。食性は雑食性であり、藻類などの植物性餌料やミジンコなど動物性のエサを食べる。

資源の利用と保全

本種は、エラ呼吸のほか腸でも呼吸ができるので、有機汚濁に伴う貧酸素に強く、経済高度成長期の汚れた川で最後まで生き残った魚種の一つである。しかし一方では、水田における農薬散布などに伴い大幅に数を減らした魚種でもある。戦前の農村では重要な食糧資源であり、ドウを用いて主に水田で漁獲されていた。本種は釣り対象魚(ゲームフィッシュ)ではないが、泥底の場所でフナなどを釣っていると、時折釣獲される。ホトケドジョウは都内で減少の著しい魚種の一つである。本種の保護には、河川周辺の緑地の確保などを含む湧水流の保全が必要である。

調理法

泥臭さがあるので、漁獲後一定期間を清水中で飼育後に調理する。身を開いて笹掻きゴボウと一緒に煮付け、卵とじにした柳川鍋が最も一般的。

ホトケドジョウ

ホトケドジョウ

シマドジョウ

シマドジョウ