カジカ


 

標準和名

カジカ

学名

Cottus pollux Gunther

地方名

カジッカ(東京)、ゴリ(金沢)

分類

カサゴ目、カジカ科、カジカ属

形態

体色は、灰褐色の地色に暗褐色の鞍状斑紋がある。底石の色に紛れやすい体色をもつ。最大体長は13cm程度。

分布

北海道を除く日本各地の河川中・上流部。東京では、多摩川・荒川水系の中・上流部に生息。中流域ではウグイやオイカワなどと、上流域ではヤマメなどと混棲する。かつては多摩川の府中市付近まで生息していたが、生息環境の悪化に伴い、現在では青梅市付近よりも上流域の多摩川本流および秋川、平井川、浅川などの上流域でのみ見られる。

生態

川の砂礫底に生息する底生魚であまり遊泳しない。産卵期は春先で、青梅市付近では3月から4月。オス親魚は産卵場となる浅瀬の底石を定める。この底石は、水通しが良く、下側に親魚の入れる隙間のあるものが選ばれる。オス親魚は、メス親魚を次々に誘い込んで底石の天井部に卵塊を産み付けさせる。同じ石には複数個体のメスが産卵することが多い。オスはヒレで卵塊に付着した泥などを掃除し、ふ化まで外敵から卵を守る。
 卵径は2.5mmから3.5mmくらい。水温6℃から9℃下で、ふ化には1ヶ月以上を要する。ふ化魚の体長は9mm前後。成長は遅く、ふ化後1年で体長4cmから5cm、2年で6cmから7cmに達する。オスの方がメスよりも体長で1cm程度大型となる。寿命は3年から4年程度と推測される。
主な餌料は、川底の石に隙間に生息するカゲロウ、カワゲラ、トビケラなどの水生昆虫類。

資源の利用と保全

カジカは小型で、あまり見栄えのよい魚ではないが、味の方は絶品で金沢のゴリ料理が良く知られている。東京の川でも、かつては大量に生息していたので、農山村ではよく食卓に上った魚である。魚体もさることながら、底石に産み付けられた卵塊(多摩地域ではアワコとかアーコと呼ぶ)も漁獲され、甘辛く煮付けて総菜にされた。しかし、資源の減少に伴って、現在本種卵塊の採集は禁止されている。
 カジカは水質の悪化に敏感な魚種で、河川の中・下流部では汚濁の進行により真っ先に姿を消した。また本種は、底石の隙間に生息し、そこを産卵場として利用している。さらにエサは底石の隙間に生息する水生昆虫である。かつて頻繁に行われた山砂利の採集や渓流沿いの道路工事などによる河川への土砂流入は、カジカの生息空間を破壊し、上流部でも資源は大幅に減少した。今後は河川水質の改善をはかるとともに、河川内への土砂流入の防止等もはかっていく必要がある。

調理法

金沢のゴリ料理が有名。白焼きに熱かんの日本酒を注いだ骨酒。上品な脂ののった塩焼きは日本産淡水魚中随一の美味。

川底の石に産み付けられたカジカの卵塊

川底の石に産み付けられたカジカの卵塊

カジカに悪影響を与える工事土砂の流入

カジカに悪影響を与える工事土砂の流入