オオクチバス


標準和名

オオクチバス

学名

Micropterus salmoides (Lacepede)

地方名

ブラックバス(全国)

分類

スズキ目、サンフィッシュ科、オオクチバス属

形態

体は側扁形。背面から体側は灰緑色。腹面は乳白色か黄色味を帯びる。体側に暗褐色の不規則斑がほぼ一列に並ぶ。

分布

本種は北米大陸原産の外来種で、五大湖からフロリダ付近まで分布する。移殖により、現在は世界各地に分布する。日本には1925年に移殖された。その後長い間、移殖先の神奈川県芦ノ湖からの持ち出しが禁止され、他水系での生息はあまり認められなかった。しかし、1970年代に入ってルアー(疑似エサ)釣りが盛んになるとともに、非公式かつ無秩序なヤミ放流が横行し、現在ではほぼ全国的に分布が拡大した。東京では1975年に皇居外苑堀で初めて生息が確認され、その後は、多摩川、荒川、江戸川水系の中流から下流域、奥多摩湖や水元・井の頭・洗足の各公園の池などで自然繁殖が確認されている。

生態

産卵期は初夏から盛夏で、東京では5月から7月と推測されている。産卵期になると、オスは水底をすり鉢状に掘ってここにメスを導く。メスはこの中に産卵しオスが放精する。オスは次々に別のメスを誘い、卵を産ませる。1産卵場には数百から1万粒ほどの卵を産むという。オスは産卵からふ化後もしばらく産卵場にとどまって仔魚を保護する。
 卵径は1.5mm程度で、水温16℃では4日から5日でふ化する。ふ化仔魚の体長は3mm程度。成長は水温によって大きく左右されるが、カナダではふ化後1年で体長15cm、2年で20cm、3年で25cm、7年で40cm程度に達する。オスは3年から4年、メスは4年から5年で成熟する。寿命は10年以上。大きなものでは体長80cm、体重10kgの記録がある。
 稚魚は動物性プランクトンを食べるが、体長5cmに達する頃から小型の魚を食べはじめ、その後はもっぱら魚食性となる。

資源の利用と保全

本種は、北米の代表的な釣り対象魚(ゲームフィッシュ)であり、日本でも釣魚としての人気は高い。しかし、魚食性が強いため、移殖当初から日本産在来魚の食害が懸念されていた。従って、流出河川をもたない芦ノ湖に放流された経緯がある。近年は同じオオクチバス属のコクチバス Micropterus dolomieu Lacepedeやブルーギル属のブルーギルLepomis macrochirus Rafinesque もヤミ放流により全国的に分布を広げている。これらの無秩序な放流には、在来魚種の食害をはじめとする生態系の攪乱という大きな問題があり、各都道府県は条例で放流を禁止している。また、琵琶湖や皇居の外苑掘などでは駆除も行われている。

調理法

体表のぬめりに独特の臭いがあるので、調理にあたっては良くぬめりをとることが大切。肉は白身でさっぱりしており、香草と一緒にムニエルなどにすると美味。

ブルーギル

ブルーギル

オオクチバスとコクチバスの違い

オオクチバスとコクチバスの違い