多摩川だより6号 約50年ぶりに都内でシラウオが採集されました

多摩川だより6号 約50年ぶりに都内でシラウオが採集されました

島しょ農林水産総合センターでは、水産資源として重要なアユについて、昭和58年から多摩川下流部で遡上調査を行っています。調査では、河口より約11 km地点の左岸側に定置網を設置し、その中に入るアユを数えています(図1)。定置網には、アユの他にもボラやスズキなど、色々な魚も入ってきます(図2)。令和6年5月3日の調査では、シラウオという魚が採集されました(図3)(表1)。

シラウオは、淡水と海水が混じる汽水域に生息する魚で、北海道から九州北部までの大きな川の河口域や汽水湖に分布しています。かつては、多摩川河口から江戸川河口にかけての汽水域でも、シラウオを対象とした漁業が広く営まれていました。しかし、河口部の埋め立てや水質悪化により数を減らし、東京都内では昭和45年ごろに絶滅したと考えられ、これまで50年以上発見の記録がありませんでした。

今回、1尾のシラウオが採集されましたが、令和4年4月27日の調査でも1尾のシラウオが採集されており、引き続きの確認となりました。いずれの個体も、腹部に卵が確認でき、繁殖のために川を上ってきたものと思われます。都内で一度絶滅したシラウオが再び見つかった原因はよくわかっていませんが、シラウオの寿命は1年であることから、現在の多摩川河口周辺では、シラウオが世代交代できる環境が再生しているのかもしれません。来年からの調査においても、動向を見守っていきたいと思います。

定置網の設置地点.png

(図1) アユ遡上調査における定置網の設置地点(左)および定置網のようす(右)

定置網に入った魚たち.png

(図2) 定置網に入った魚たち

シラウオ1.jpgシラウオ2.jpg

(図3) 今回採集されたシラウオ(左)(右)

生鮮時は半透明色をしている。名前や外見のよく似たハゼ科のシロウオとは、脂びれが本種にはあること等で見分けられる。近縁で海水魚のイシカワシラウオとは、尾びれ基部に明瞭な一対の黒点が本種には無いこと等で見分けられる。

(表1)シラウオの測定結果
採集日 全長(mm) 標準体長(mm) 湿重量(g)
2022/4/27 93.7 83.2 1.1
2024/5/3 85.8 77.9 1.5



参考資料:

細谷和海(2023)増補改訂 日本の淡水魚, 第二版. 山と渓谷社,東京,p.249

東京都環境局(2023)東京都レッドデータブック2023. p.536

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