養殖礁によるアワビ養殖試験
背景・ねらい
養殖アワビは天然アワビに比べて漁獲制限がなく、計画的な生産出荷が図れるなど多くのメリットがあります。しかし、島しょの海では養殖に適した波静かな湾など天然の地形条件には恵まれておらず、また、陸上の養殖施設では建設や維持に多額の経費がかかります。そこで、漁港の一部など、わずかな静穏域でおこなう事ができる、低コスト・高成長のアワビ類養殖技術の開発に取り組みました。
成果の内容・特徴
- 養殖礁におけるアワビ類3種の成長と生残を明らかにしました。
平成15年11月17日から約1年間(328日)、「養殖礁」(外寸:縦横160cm、高さ50cm/図1 )により、クロアワビ、メガイアワビ、フクトコブシの人工種苗を飼育した結果、成長量は91µm/日から112µm/日で、陸上水槽飼育の約1.6倍から2.1倍の値でした(図4、表1)。 - 養殖礁によるアワビ養殖の経済効果を試算しました。
飼育データをもとに、クロアワビ、メガイアワビ、フクトコブシを養殖した場合の、養殖礁1礁あたりの年間売り上げを試算したところ、約12万円から27万円の売り上げが得られると計算されま した。(図5)。
養殖礁によるアワビ養殖が伊豆諸島全体に普及した場合、養殖による年間利益は約860万円になると試算されました。また、技術改良により、生産数を50%増加、餌代を30%削減できれば、約2,400万円の利益になることがわかりました(表2)。
成果の活用と反映
今後は、養殖礁の改良による収容密度の向上と、季節成長にあわせた効率的な給餌方法の確立による餌代の削減により、生産性を向上させ、伊豆諸島全体への普及を図ります。 (滝尾 健二)
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図1 養殖礁 | 図2 給餌風景 |
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図3 養殖アワビの外観 | |
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