マス類の養殖経営を脅かす魚病被害を軽減し、重大な魚病のまん延を防止するために、水産試験場では魚類防疫士という資格を持つ「魚のお医者さん」が魚病診断や防疫指導を行っている。魚病の早期発見・早期治療と防疫対策技術の普及により、養殖魚の安定供給と養殖経営の安定化が進んできた。
実施機関:奥多摩分場
事業名:魚病対策技術開発試験・魚類防疫体制整備事業
IHN(Infectious Hematopoietic Necrosis:伝染性造血器壊死症)はマス類にとって治療法のない重大なウィルス病であり、被害の最も多い魚病ある。東京都ではIHNウィルス感染試験による抗病系ニジマスの選抜育種を行っているが、今年度選抜4代目からの稚魚に死亡率0%という強い抗病性を有する群が得られた。
実施機関:奥多摩分場
事業名:魚病対策技術開発試験
フクトコブシ陸上養殖の最適餌料として不稔性アナアオサを選定し、施肥量や通気量などの培養条件を明らかにして陸上水槽での周年培養技術を確立した。また、不稔性アナアオサを餌料としたフクトコブシ陸上養殖の収支計算を試みた。
実施機関:八丈分場
事業名:フクトコブシ養殖試験
2001年9月に伊豆南部で採取したアントクメ胞子体を用いて遊走子の放出促進を行い、多数の遊走子を得た。得られた遊走子から配偶体を発芽させ恒温器内で培養した。3ヶ月後の12月14日には雌の配偶体に卵の形成を確認し、その1週間後には胞子体幼芽を確認した。
実施機関:大島分場
事業名:生産力回復研究
三宅島の南西に位置する大野原海丘のキンメダイ資源を、大島分場調査指導船「みやこ」に搭載した計量魚群探知機で調査し、得られた情報をもとに現存量の推定を試みたところ、同海域のキンメダイ現存量は5百トンと試算され、計量魚群探知機によるキンメダイ現存量の把握が可能であることが示唆された。
実施機関:大島分場
事業名:漁業資源調査
小笠原群島周辺の深海域に、これまで知られていなかった水産上有用な甲殻類が生息することが明らかとなった。これらは簡易な汎用カゴ漁具で漁獲可能であり、現在のところまったく利用されていないことから、将来有望な新しい水産資源として期待できる。
実施機関:小笠原水産センター
事業名:小笠原海域漁業調査指導
小笠原諸島海域に生息するアカレンコについて漁業・資源学的解析を行った。
2000年3月から2001年6月の期間に小笠原父島列島周辺で漁獲されたアカレンコの尾叉長範囲は17.8cmから39.6cm、平均値は31.1cmであり、大型個体ほど雄の割合が高くなる傾向がみられた。また、生殖腺塾度指数の季節変化から本種の産卵期は年1回の3月から6月と考えられた。
実施機関:小笠原水産センター
事業名:小笠原海域漁業調査指導
伊豆諸島近海で行ったキンメダイ卵の分布調査および比重測定結果から、卵および仔魚期の分布拡散についての仮説を立てた。さらに、MTDネットによる多層同時層別採集を行い、仮説を実証することに成功した。
実施機関:大島分場・八丈分場
事業名:漁業資源調査