背景・ねらい

 東京都内にはマス類を養殖する施設が40ヶ所程あり、(図1)、生産された魚は遊漁や河川釣場・庭先釣堀で釣りの対象になったり、旅館、民宿やバーベキューの食材として活用されている。しかし、生産過程でさまざまな魚病が発生し、養殖経営に多大な被害を及ぼしており、魚病による被害を抑え、マス類養殖業の振興を目的として本事業を実施した。

成果の内容・特徴

  1. 養殖業者からの魚病検査の依頼や年4回の定期巡回指導(写真1)を通して、魚病診断(写真2)を行い、適切な指導を行っている。
  2. 病魚の隔離、稚魚と成魚の隔離飼育、消毒剤の活用による病原体の侵入防止、紫外線殺菌装置による飼育用水の殺菌など防疫対策技術を普及指導している。
  3. 治療法のないウィルス病IHN(伝染性造血器壊死症)に対する抗病系品種(ニジマス・ヤマメ)の開発に取り組んでいる。また、平成11年に施行された持続的養殖生産確保法にもとづいて、国内未侵入特定疾病について継続して監視している。さらにマス類の活魚流通の広域化にともなう魚病の拡大・まん延に備え、関連の行政機関、研究機関と連携を取り、近県の魚病発生状況や最新情報を収集し、養殖業者に提供している。

成果の活用と反映

 平成13年度の魚病診断件数は41件(表1)、早期発見・早期治療により魚病被害を軽減し、他の養殖施設への伝播を防止できた。また、防疫対策技術の普及により、養殖魚の安定供給と養殖経営の安定化が進み、近年の被害額は精算の10~15%に抑えられている(図2)。

(文責:牧 茂)

平成13年度_資源管理型漁業_説明資料