沖ノ鳥島における漁場開発

背景・ねらい

 沖ノ鳥島は東京から1,700km、小笠原から900km離れた遠隔地にあるため、東京都の漁船による漁業はほとんど行われて来ませんでした。しかし、近年沖ノ鳥島の重要性が認識されはじめ、同島周辺の水産開発を進めることとなりました。このため、周辺海域に浮き魚礁を設置して回遊魚を集める試みを行うとともに、礁内では利用可能な資源を探索しました。

成果の内容・特徴

① 平成19年1月、沖ノ鳥島周辺の3カ所、水深1,700~2,800mに浮き魚礁を設置しました。

② 浮き魚礁周辺の引き縄試験操業により、魚礁の周辺にカツオと小型マグロが多数集まっていることが確認できました。

③ 浮き魚礁周辺のたて縄試験操業では時期によってキハダ(マグロ)の漁獲がみられました。

④ 礁内にはシラナミガイ(シャコガイの一種)が最大1㎡当たり20個体もの高い密度で生息していました。その成長は遅く、殻長10cm以下の個体で年間2cm程度でした。

⑤ 礁内にはナマコ類、センナリズタ(海藻)など利用可能な生物がみられました。

成果の活用と反映

 今後、さらに調査を積み重ねて漁場・漁期を明らかにし、小笠原漁業者による沖ノ鳥島周辺における漁業操業を支援します。    (米山 純夫)

図1沖ノ鳥島の位置

                     図1 沖ノ鳥島の位置

沖ノ鳥島

図2 沖ノ鳥島

 

浮き魚礁の構造

図3 浮き魚礁の構造

 

表1 浮き魚礁周辺における引き縄操業結果
カツオ・小型マグロ類の時間当たり漁獲尾数

曳縄操業結果

 

 

立て縄操業結果

図4 たて縄試験操業結果

 

 

図5 シラナミガイ(シャコガイの一種)

図5 シラナミガイ(シャコガイの一種)

図6 シラナミガイの成長

図6 シラナミガイの成長

 

図7 クロナマコ

図7 クロナマコ

 

図8 センナリズタ

図8 センナリズタ