【背景・ねらい】

 伊豆諸島各地の定置網で多獲されるゴマサバは、これまで市場価格が安価なため、輸送費がかかる島外には出荷出来ず、そのほとんどが廃棄されていた。そこで、ゴマサバの利用促進を目指すため、飽和蒸気調理機*を用いて加工品(「骨まで食べられるゴマサバフィレ」。以下、「ゴマサバフィレ」と記す。)を試作するとともに、一般消費者を対象とした試食を通じて、今後の商品化に向けた需要動向を見極める。

【成果の内容・特徴】

  • 大島栄養士会(白戸会長)の協力を得て、大島町福祉祭りにおいて「ゴマサバフィレ」とそれを使った「サバカレー」を来場者に試食してもらい、試食後にアンケートを実施した。その結果、62人(女性42人、男性20人)より有効な回答を得られた。年代別では、30代と60代がともに16人、次いで、40代、50代の8人ずつであった。質問別では、①その味について尋ねたところ、94%の人が「美味しい」と回答し、「不味い」と回答した人はいなかった。②日常の食生活におけるカルシウム不足について、半数以上の59%の人が「不足気味」と回答。「足りている」の8%を大きく上回る結果となった。③「ゴマサバフィレ」の利用について、92%の人が日常において使ってみたいと回答した。④購入価格について、100gあたりの希望購入価格は、「50~100円」と「150~200円」がそれぞれ48%であった。年代別では、30代以下の人の54%が「150~200円」を希望価格としたが、40代以上になると、54%の人が「50~100円」を希望価格とした。また30代以下の人の4%が「250~300円」と回答した。

【成果の活用と反映】

 アンケート結果より、試作した「ゴマサバフィレ」は、一般消費者から高い評価を得ることができた。日常生活においてカルシウム不足を感じる人が多い中、骨まで食べられる商品特性が、特に幼いお子さんを持つ30歳代の主婦層の支持を得られた。そこで、今後の商品化に向けたポイントとして、①販売対象は30歳代主婦層を中心とする。②忙しい日常においても、手軽に調理ができる食材として位置づけ、メニューの普及を図る。③子供にも安心して食べさせることができる、地元の魚で作ったカルシウム豊富な加工品としての価値をアピールする。の3点とすることを確認した。また、各島の漁業協同組合とも連携を深め、「ゴマサバフィレ」の商品化と普及に向けた取り組みを進めていきます。


(山口邦久)

ゴマサバって美味しい?!(試作品試食後のアンケート集計結果) 図表