漁業調査指導船「みやこ」の長期航海(南鳥島から沖ノ鳥島周辺海域調査について)
【背景・ねらい】
「みやこ」は、広域漁業調査指導船として東京都の広大な海域を網羅し、都内漁業者の期待に応えるため、航続力、最新の観測機器類及びデータ発信機能を駆使して情報提供を行うことが必要です。そこで、平成24年7月に伊豆諸島から南鳥島そして沖の鳥島までの海域において、新たな観測機器類を用いた各種データ収集やサンプルの採集を実施しました(表1)。
【成果の内容・特徴】
- 海洋観測
往路では、大島~鳥島間で10点(沖合定線観測)、南鳥島周辺で2点、沖ノ鳥島周辺で4点の合計16点で水温、流向・流速、透明度及び気象等の観測を行いました。また、航海中は海洋データ処理システム(図2)及び船内LANを稼動し、船上からのデータ送信を行い、島しょセンターホームページ上に情報を公開しました。 - 音響式探査装置の運用
沖ノ鳥島周辺では、ソナー(水中での音波の反射を利用し、中表層近くの魚群を探すための装置)を用いた調査を行い、3箇所設置された中層浮き魚礁の設置状態を確認することができました(図3)。 - 表中層トロールネット(大型稚魚ネット)調査
新たに導入したネットを用いて南鳥島周辺で2回、沖ノ鳥島周辺で1回の合計3回の稚仔魚採集を実施しました(図4)。網に装着した深度センサーにより、所定の水深を安定して曳網することができました。ナガタチカマスの稚魚(図5)やアナゴ属等仔魚が採集されました。 - 底釣り及び曳き縄試験操業
南鳥島周辺において底釣り試験操業を8回実施し、ハマダイ1尾(図6)、チカメエチオピア18尾(図7)を含む合計27尾を釣獲しました。また、沖ノ鳥島では中層浮き魚礁周辺で曳き縄試験操業を行い、カツオ6尾を釣獲しました。 - 漁場監視
航海中及び調査中には目視及びレーダーを用いて、不審漁船等の確認を行いました。
【成果の活用と反映】
今後も、魚類等の生態調査や海洋環境モニタリング等の調査研究のほか、収集データの迅速な情報発信や漁場秩序の維持のため監視活動を行っていきます。
(小埜田 明)