【背景・ねらい】

 小笠原諸島では、水深400~600mにおいてメカジキ・メバチ・ソデイカを対象とした深海たて縄漁業が盛んです(図1、2)。その中でもメカジキは、総漁獲金額の4割を占める重要な漁獲対象種で、将来にわたって持続的に資源を利用していく必要があります。しかし、その漁獲量は年変動が大きく、平成20年の172tをピークに近年は減少傾向です。そこで、小笠原島漁協提供の漁獲統計資料とたて縄出漁隻数から資源量指数を算出し、小笠原諸島におけるメカジキの資源動向を把握しました。

【成果の内容・特徴】

  • 小笠原諸島父島に水揚されるメカジキは、平成19年、平成20年と170t前後で推移し、平成23年には100tまで減少しました。その後、増加傾向に転じて平成25年は、火山列島で漁獲した分を含め151tと過去10年間で3番目に漁獲量が多い年となりました。また、近年火山列島での漁獲量が増加しています(図3)。
  • 火山列島で漁獲された個体を除いたメカジキのCPUE(1日1隻当たりの漁獲尾数)は、平成17年から続く豊漁期と同程度まで増加していることがわかりました(図3)。
  • 中型個体(40-60kg)の漁獲時期は、過去と比較して産卵期(5-8月)に集中する傾向があり、冬期から初春にかけてのCPUEは減少しています(図4)。
  • 体重別のCPUEは、平成16年に若齢個体の20-30kg台が高く、平成17年には40kg台が高くなりました。平成18年は70-80kg、平成19年は80-90kg台のCPUEが前年より高くなりました。その後、平成23年に再び若齢個体の10-20kg台が高くなり、平成24年は20-30 kg台、平成25年は30-40kg台が高くなりました(図5)。
  • 体重別CPUEの推移から、平成17年から平成20年までの豊漁と平成25年の漁獲量の増加は、平成15年および平成22年頃に発生した卓越年級群が漁獲されていたためと推測されました。

 *資源量指数(CPUE):Catch Per unit effortの略。 単位努力量当たりの漁獲量で、理想的な場合には資源量に比例する。

【成果の活用と反映】

 近年、メカジキの漁獲量は増加傾向にありCPUEも増加しています。これは、卓越年級群に因るところが大きく、また、漁獲時期は過去と比較して産卵期に集中していることがわかりました。将来にわたって持続的にメカジキ資源を利用していくためには、資源を管理しながら漁獲する必要があります。今後は、精度の高い資源評価ができるデータを取得し、資源動向を漁業関係者に情報提供していきます。

漁獲統計資料から見たメカジキの資源動向