令和2年度 主要成果集(水産)
新たな資源量推定法として、タカベ資源量推定に卵数法*が適用できるかを検討するため、従来の外部形質(形、大きさ、色等)により仕分けした卵についてDNA分析を加え、タカベ卵分類形質を再検討しました。また、表層に分布するタカベ卵を量的に比較できるかを検討するため、気象庁ニューストンネットを用いた卵の定量採集を試みました。これらの結果、タカベ卵の分類形質を絞りこむことができ、表層に分布する卵を定量的に採集できる可能性がみえてきました。
八丈島の重要な漁業対象種であるメダイについて、成長や成熟時期、食性を明らかにしました。また、試験操業の結果について、黒潮流路とメダイの漁獲特性の関係を解析しました。その結果、黒潮が八丈島の南側を通過する場合(C型)は北側を通過する場合(非C型)と比べて、漁獲水深は浅く、漁獲水温は低くなることが明らかになりました。
小笠原諸島の重要な漁業対象種であるハマダイについて、年齢査定や魚体測定及び水揚げデータの解析を行いました。その結果、長期航海の増加が漁獲量の増加をもたらしていること、CPUEは横ばいから増加傾向であることが分かりました。また、2~3年間隔で卓越年級群が発生している可能性が示唆されました。
電子標識に記録されたカツオの体温の変化を基に摂餌量を推定し、カツオの遊泳推定位置における海面高度と水深10mの水温、流速、塩分から摂餌量指数と海況に関する摂餌量予測モデルを構築しました。また、調査指導船の操業データとこのモデルの摂餌量指数予測値との関係を検証しました。
当センターでは、広域的な海藻類の繁茂状況を把握する新たな調査手法の開発に取り組んでいます。今回は、植生探査ソナーを調査船に取り付けて航行し、海底へ発射した音波の跳ね返りを観測、解析することで、調査範囲全体における海藻の長さの分布を推定しました。
東京都では昭和58年から、多摩川下流域に定置網を設置し、江戸前アユの遡上状況を調査しています。定置網にはその他の魚類も入網し、調査では魚種査定と計数を行っています。今回は、過去37年間のデータを整理し、魚種の変化を把握するともに多摩川下流域を取り巻く環境の変化についても検討しました。
東京湾奥において小型底曳網による魚類のモニタリング調査を継続して実施していますが、今回、最近の10年間(2011~2020年)について取りまとめたところ、延べ23万尾、12目、76種の魚類が出現しました。出現尾数はマハゼを中心にハゼ科魚類が89%と突出し、カタクチイワシ、サッパ、アユ、シログチ、コノシロ、スズキと続きました。
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