令和3年度 主要成果集(水産)

令和3年度 主要成果集(水産)

伊豆諸島におけるキンメダイ卵の分布特性を検討するため、漁業調査指導船「みやこ」による過去20年分のプランクトンネット調査データを整理し、統計的な解析を行いました。その結果、キンメダイ卵は7月、8月、9月に多く、特に産卵盛期に多く採集されること、黒潮の内側域で採集が多く、同一地点でも強流域・外側域に移行した場合には少なくなること、南方の調査点ほど、多く採集されることが示されました。

八丈島沖東13マイル漁場で、計量魚群探知機による調査と釣獲調査を行い、その結果から同漁場におけるキンメダイの増加量推定を行いました。令和2年から翌年にかけての年級群別増加量は若齢魚を中心に増加し、2682.3㎏の増加と推定されました。

八丈島周辺におけるクサヤモロ漁業に影響する要因を明らかにするため、漁獲量・魚体測定データを解析しました。その結果、操業船一隻あたりの日別漁獲量(CPUE)は季節的に変化し、8~11月に増加、11~12月に減少しました。また、黒潮流路がC型に移行するとクサヤモロの餌料環境が良くなり、CPUE、魚体重量が増加することが示されました。

近年、伊豆大島周辺ではアントクメが激減し水産業への影響が懸念されています。このため、大島事業所の研究成果をもとに、平成20年より大島町が主体となってアントクメ藻場造成を実施しています。大島事業所では、より効果的な藻場造成を実施するため、潜水によるアントクメの生育状況調査を行っています。

小笠原の重要な磯根資源であるアカイセエビについて、成長様式を調べるために、採集・飼育試験を行いました。その結果、アカイセエビの産卵は夏季に多く、孵化した幼生は約1年後に着底していることが分かりました。また、着底から加入に要する期間は雄で約7年、雌で約10年であると推定されました。

ヤマメは、産卵後に死んでしまう魚種のため、これまで採卵後のヤマメを焼却処分していました。SDGsや処分コスト削減の観点から、採卵後ヤマメを利用した加工技術を開発するとともに、地域振興の一助となるべく商品化に取り組みました。

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