奥多摩やまめの特産品としての定着化 (加工品開発で販路拡大を目指す)
【背景・ねらい】
奥多摩やまめは、多摩地域の新たな特産品として開発されました。平成18年度に「奥多摩やまめ振興協議会」が発足し、地元町村や観光協会と連携して地域特産品としての定着を目指した取り組みが始まりました。平成19年度から、鮮魚や活魚中心のマス類の流通形態に、冷凍フィレやくん製品、ひらきなどの加工品を導入することで、新たな需要を獲得し、奥多摩やまめの定着化を図っています(写真1,2,3)。
【成果の内容・特徴】
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加工品販売実績の推移。
平成22年度(12月末時点)の販売額は約270万円となり、前年、前々年の同時期の1.3から1.6倍程度に達しました。特に、食材として使いやすい冷凍フィレの伸びが大きく、平成21年度の375.7kgに対して、本年度は637.5kg(ともに12月末まで)となりました(図1,2)。くん製の年間販売数は743から1,184本で安定的に推移しています(図3)。
- 加工品利用店舗の定着化
奥多摩町内を中心とした加工品の利用店舗数は19軒(平成22年度)で、そのうちの5軒が4年間、9軒が3年以上継続して利用しています。
平成20年度以降は年間の利用額が10万円を超える店舗が利用店舗数の25から30%に達し、30万円を超える店舗もあります(図4)。加えて、青梅市、檜原村、立川市の他、区部においても利用されるようになりました(図5)。また、加工品の利用店舗から「とうきょう特産食材使用店」に3店舗が登録しました。
- 新たな加工品(ひらき)の開発
平成22年度から、冷凍フィレ(1kg以上)、くん製(200g、400g)に続いて、より小型の段階(100から120g)から奥多摩やまめを有効に活用するため、“ひらき”の開発に取り組みました。4月下旬から販売を開始し、12月末現在の販売実績は288枚となっています。
【成果の活用と反映】
加工品の開発によって、奥多摩やまめの利用形態や利用店舗の幅が広がりました。今後は、奥多摩やまめのさらなる生産増を図るとともに、くん製に続くあらたな土産物用の加工品の開発に取り組むことによって、多摩地域における特産品としての地位を確立していきます。
(城 智聡)
写真1 奥多摩やまめの冷凍フィレ 写真2 奥多摩やまめのくん製
写真3 奥多摩やまめのひらき 図1 加工品の販売額の推移
図2 冷凍フィレ販売量の推移 図3 くん製販売数の推移
図4 一店舗あたりの加工品の年間利用額 図5 加工品利用店舗の分布(過去4年間)