第2巻第2号(通算11号) 東京都小笠原水産センター
2000年5月12日発行

東京都小笠原水産センター父島漁業指導用海岸局について

 小笠原水産センターに父島漁業指導用海岸局(以下:無線局)があるのをご存じですか?センターの敷地内にそびえる2本の鉄塔は目立ちますが、「何の鉄塔?」と首をかしげる方もいるのではないでしょうか。無線局が開局したのは、小笠原諸島が返還された3年後の昭和46年6月で、小笠原の中でも古い職場です。今回の「海洋島」ではその無線局を紹介します。


設立目的:

 無線局が設立された目的は、小笠原諸島近海で操業する漁船及び航行する船舶に対して海難事故の防止に努めること、地元漁業者に対して漁獲能率の向上に寄与することです。
 特に小笠原は地理的に見ても船舶に重要な拠点であるため、無線局から送信する様々な情報は重要視されています。
 そのためには、必要とする正確な情報を関係機関等からいち早く入手し、迅速に各船舶へ伝えなければなりません。

運用時間:

 当局の職員数は3名のため、残念ながら24時間の運用はしていませんが、365日休まず運用しています。
  運用時間は通常08時00分から17時00分ですが、夜間運用が必要な場合は06時00分から21時00分の間開局しています。
 しかし事故による遭難・捜索の支援、および津波・台風の接近に伴う情報の周知など緊急を要する場合は、無条件で24時間の業務を行います。

業務内容:

 主な業務内容はラジオ天気図を日に2回作成して、必要とする機関へFAXで送り、水産センター前の掲示板に掲示します。また気象衛星の雲の写真や実況天気図を受信して、誰でも見ることができるようにラジオ天気図と同様、掲示板へ掲示しています。
 通信業務は、「興洋」を始めとした各船舶との交信、航行警報・臨時気象情報の周知を行っています。定時気象通報は、中短波帯(2MHz)の周波数で日に3回、超短波帯(27MHz)の周波数で日に4回行っています。
 開局時間中は国際呼出遭難周波数(2182KHz)の聴取が義務づけられているため、この周波数は特に注意しています。このほか、無線機器類の修理依頼への対応・自局のメンテナンス・母島においての無線指導業務・事務業務など多種多様の仕事を行っています。
 私達職員は、今日も船舶の安全を祈りつつ業務に取り組んでいます。


父島漁業無線局