メカジキの移動経路(PAT-tagデータ解析の結果)

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  2006年より水産センターでは、メカジキ調査の一環として、回遊経路を調べるために、興洋により漁獲されたメカジキへ標識を装着し放流してきました。
 標識の中でも、環境等のデータを蓄積し、人工衛星を利用しデータ送信が可能な、ポップアップ・アーカイバル・トランスミッティング-タグ(PAT-tag)は(通巻52号参照)、3年間で7個体に装着し、うち6個体からデータの回収に成功しています。
 これまで得られたデータを解析した結果、放流後の移動経路が分かりました(図1)。経路は大きく分けて2通りあり、小笠原から北に向かったもの4個体、南に向かったもの2個体でした。

図1 メカジキの移動経路

図1 メカジキの移動経路

  最近回収されたのは10月15日です。これは、今年6月17日に父島の西沖で放流した、推定150kgの個体で放流後は、小笠原の東沖へ移動し、その後北上。10月15日には青ヶ島の南沖まで泳いでいました。この個体からは、これまでで最も長い120日間のデータを得ることができました。ちなみにこの間、もっとも深く潜った水深は792m、その時水温は5.2℃であったことがわかります。
  1番遠くまで移動した個体は、今年4月14日に放流し、80日間に東沖、東経160度付近まで延2,841kmを移動した個体です。同時に、この個体は1日に90.4kmと、もっとも長い距離を移動していたことも分かりました。移動した総延長距離と標識を付けていた期間には明確な関係はありませんでしたが、魚体の大きさと1日のうちに泳げる最大距離には、正の相関がありそうです(図2)。どうやら、大きなメカジキほど1日のうちに遠くまで泳げるようです。現在、まだ1尾がPAT-tagを装着し泳いでいます。このデータが得られるのは来年9月の予定です。

メカジキの体重と移動距離