第4巻第2号(通算31号) 東京都小笠原水産センター
2002年5月15日発行

小笠原水産センター本館が竣工しました

小笠原水産センターでは、平成10年度から13年度までの4年間、約5億円の工費をかけて本館等を建て替え、これにより昭和48年開所当時の施設はほぼ全て更新されました。先日、4月22日、たくさんのご来賓を迎え、竣工式をとり行うことができました。これまで水産センターを支えて下さった皆様に厚く御礼申しあげます。
 今回の建て替えでは、老朽化した本館、無線棟、発電棟、倉庫などを取り壊し、これらを半地下・地上2階の新館に統合致しました。新館では高潮などの災害時にも機能するように無線局、実験室、自家発電室などは地上の階に配置してあります。また、機械類の修理ができるように作業棟を別に設け、敷地内は小笠原の景観を損なわないように整備しました。本館には展示コーナーもありますので気軽にお立ち寄り下さい。


水産センター全景(1984年頃)

水産センター全景(1984年頃)


水産センター全景(2002年)

水産センター全景(2002年)


新所長着任のご挨拶

23年ぶりに小笠原勤務をすることとなり4月に着任しました。前回勤務した昭和50年頃には漁港の周囲に自然のままの海岸がたくさん残っていましたが、それらがすっかり整備され、街は随分きれいになっていました。
 返還後30年を経過し、小笠原の漁業もいくつかの問題を抱えています。一つは底魚資源の減少で、島近くの漁場は長年の操業などで魚が少なくなっています。二つ目は魚価の低迷で、輸入魚の増加や不況の影響でかつてのような高価格は望めなくなりました。三つ目は漁獲した魚の輸送の問題で、週1回の船便では鮮度の悪くなりやすい魚種は高値が期待できません。
 このような問題を解決するために、水産センターでは、今後、次のような調査・研究を重点的に行っていくつもりです。まず、キンメダイやエビ類など深海資源の開発による漁業の多角化や、養殖技術の開発による養殖業の振興を計っていきます。次に、漁獲した魚を高く売るために、活魚蓄養の技術支援や捨てられている混獲魚の利用などを関係機関の協力を得ながら進めたいと思います。また、平成17年の高速船就航による出荷時間の短縮や出荷回数の増加を念頭に、これまで鮮度が悪くなりやすく余り重視されなかったカツオについて、その漁場や漁期・漁法について調査していく予定です。皆様のご指導・ご協力をお願い致します。