第2巻第6号(通算15号) 東京都小笠原水産センター
2000年9月29日発行

小笠原諸島周辺海域における漁業取締りについて

 小笠原水産センターでは、小笠原支庁の水産係と共同で、所属の調査指導船「興洋」(46トン)を用いて漁業取締りを実施しています。小笠原諸島海域における漁業取締りの範囲は、北緯28度30分以南の、小笠原諸島各島距岸から30マイルの範囲内とされ(図1)、この海域の取締りを小笠原支庁の特別司法警察員(1名)と漁業監督吏員(5名)が任務に当たっています。
 近年の小笠原周辺海域では、「興洋」の数多くの検挙と父島二見港入港時臨検の際の啓蒙活動等により、小笠原の漁業許可制度が広く島外漁船に知れ渡るようになり、操業違反での検挙数は少なくなりました。その一方でたて縄漁具を島外のはえなわ漁船に切断されるトラブルが増えています。今後、一層の啓蒙活動と海上パトロールによる監視強化を続けていくつもりです。
 また、台湾船による違法操業も問題になっています。違法操業は、平成5年以降再び活発化し、主に母島南方海域や聟島でさんごの採捕をしています。最近では、はえなわ漁船なども違法操業を繰り返しているようで、硫黄島周辺では、島外漁船が縄を切断される被害が相次いでいるようです。中には、島岸まで近づいて操業する大胆な漁船も現れ、平成10年9月に「興洋」が母島沖港のすぐそばで台湾エビ篭漁船を拿捕したのは記憶に新しいところです(図2)。


図1 小笠原沿岸海域の漁業取り締まり範囲

図1 小笠原沿岸海域の
漁業取り締まり範囲

図2 違反台湾漁船の拿捕(1998.9.28)

図2 違反台湾漁船の拿捕
(1998.9.28)


 小笠原海域は非常に広く、とても通常の取締りを続けていても全域をカバーするのは難しい話です。違反操業を防ぎ、漁業秩序を保つためには、漁業者の皆様による通報が重要な役目を果たします。違反の疑いのある漁船を見つけたら、船名・漁船登録番号等がわかるような写真を撮ることが一番の方法ですが、カメラを持ち合わせていない場合は、

  1. できるだけ接近して、船名・漁船登録番号を確認する
  2. 違反位置がわかるよう、GPSの位置を記録する
  3. 現認場所、現認月日、時刻を記録してください

 なお、地元漁船でも漁業許可を所有していない船舶が不法操業した場合、躊躇なく検挙しますので、十分に注意し、秩序ある操業をしましょう。
 最後になりますが、トローリングなど遊漁者の規則違反が最近増えています。規則違反を承知で行っている人も多く、軽い気分でやっていても行為自体は刑罰の対象となりますので、海洋レジャーについての禁止事項を理解し、小笠原での遊漁を楽しんでもらえたらと思います。違法操業の通報・照会については下記までお願いします。

小笠原水産センター漁業無線局 Tel 04998-2-2127
 呼出名称「ちちじまぎょぎょう」 SSB 2182 Khz
小笠原支庁産業課水産係 Tel 04998-2-2122