巨大カジキ続々

 

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小笠原で最大430kg                 

 今年は、大物の水揚げが相次ぎました。母島では、2月7日(左写真)第七富美丸(石原船長)によって、過去最大と思われる、メカジキ342kgが水揚げされました。内蔵、鰭などの他、頭も除去した出荷重量だったので、生前の重さに換算すると、おおよそ430kgくらいだったと推定できます。最大カジキ

母島;富美丸 写真提供:クラブノア母島

 

一方、父島では6月6日(左写真)鯨海丸(中島船長)によって345kgが水揚げされました。父島の場合、内蔵、鰭等の除去後の出荷重量なので、約400kgくらいだったと推定されます。また、卵を持っていたとのことから、雌だと確認ができました。

市島 

 父島:鯨海丸

母島では他に、5月23日に福聚丸(有賀船長)により出荷重量で312kgの、やはり雌が水揚げされました。これまでの研究から、メカジキは雄と雌では、成長速度が異なり、雌は、雄よりも早く成長し、さらに大型化することが知られています。体重400kgから推定した年齢は、25~30才くらいではないかと思われます。

メカジキの稚魚

水産センターでは、重要魚種の生態解明のため、小笠原近海での卵や稚魚の採取を目的とした調査を実施しています。残念ながら、まだ、メカジキの卵や幼・稚魚は見つかっていませんが、引き続き精力的に調査を実施する予定です。下の写真はクロカジキの幼魚です。小笠原でも成魚は、メカジキに混じり希に水揚げされますが、主に北緯20度以南が分布域とされています。しかし、興洋の調査では、稚魚や幼魚が火山列島で数多く目撃され、採取されたことから、この周辺が産卵場となっている可能性があります。今後の調査が待たれます。

クロカジキの幼魚

     クロカジキの幼魚:南硫黄島・北硫黄島、西の島で興洋により採取されました。この頃はまだ

     上顎には長い吻がありません。

 

下の写真は珍しい小型のメカジキです。2004年9月26日に撮影されたもので、クラブノア母島の中西さんから提供を受けました。写真から判断すると、おそらく生後1年未満の個体で、体長(EFL)は約70cm、体重約5kg程度と思われます。

今年、第八興勇丸(磯部船長)が5月の末に父島の西沖で黄色の標識を付けたメカジキを釣りました。付いていた標識を調べたところ、駿恒丸(牧山船長)が、昨年2008年の10月嫁島の東沖で放流したものであることが分かりました。放流時の体重はおよそ10kgだったことから、7ヶ月間に約2倍に成長したことが分かり、大きな発見となりました。現在、10kg未満の小型魚の標識放流は、父島と母島で、漁業者の方々のご協力のもと実施されていますが、再捕されたのは、今回が初めてです。水産センターでも、今年度は引き続き人工衛星にデータを転送できるタイプの標識、PAT-tagを4個体に装着し、行動・生態調査を継続して実施していきます。

小型メカジキ

 

カジキの中でも最大になるメカジキは、世界の温帯~亜熱帯の海に広く分布しています。世界最大のメカジキは、IGFAの記録によると、1953年5月7日にチリで記録された1182ポンド(536kg)が最大の記録です(下写真)。インターネットで検索すると、フロリダ自然博物館のメカジキ(ソードフィッシュ)の説明には、最大455cm、重量1400ポンド(650kg)という記載もありますが、詳しい内容は触れていません。

ワールドレコード]

メカジキの成長

メカジキの成長(水産庁)