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 クサヤモロ棒受網漁

 クサヤモロは南日本一帯と世界の暖海域に広く分布するアジの仲間で、最大で50cmを超えます。伊豆諸島から⼩笠原諸島では普通に見られる魚です。
 クサヤモロは八丈島ではキンメダイ、トビウオ、カツオ等と並び重要な魚種で、今年も8月1日から棒受網漁が始まりました。しかし、近年はくさやの需要低迷もあって漁獲量は200t未満です(図1)。

図1 クサヤモロ漁獲量推移

図1 クサヤモロ漁獲量推移

 

大ムロと小ムロ

 島しょ農林⽔産総合センターでは、クサヤモロの資源動向を把握するため、毎年7~12 月に月に1回程度、クサヤモロの漁獲調査を行っています。今年は7 月下旬に漁期前調査を行いました。その時の尾叉⻑組成が図2です。サイズの異なる2つのグループがあるのがわかります。22cmにピークを持つグループ(平均21.5cm)が小ムロ、29cm にピークを持つグループ(平均28.9cm)が大ムロです。昨年の7月(図3)は23cmと30cmにピークがみられており、今年は昨年よりサイズが小さいことが分かります。

図2 2014年7月の尾叉長組成 

図2 2014年7月の尾叉長組成 

 図3 2013年の月別尾叉長組成

図3 2013年の月別尾叉長組成

 

大ムロはどこへ?

 これまでの調査結果から、毎年7~8 月に小ムロが来遊し、翌年まで八丈島周辺に留まって成長し、大ムロになると推測されています。昨年の調査では7月よりも8月に小さいサイズの小ムロが加入しているのがわかります(図3)。また7月と8月はともに小ムロと大ムロが見られますが、11月には小ムロしか⾒られません。11月のグループは7月に23cmにピークを持った小ムロが28cmに成長したものです。過去に冬季に行った調査でも大ムロは見られませんでした。大ムロがどこにいったのか今のところ、わかりません。また小ムロがどこから来るのかもわかっていません。今後はこれらの解明に向けて標識放流などに取り組んでいく予定です。