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 フクトコブシとは?

 フクトコブシは、アワビに似た貝で伊豆諸島全域の水深10m以浅の岩場に生息しており、八丈島では「アブキ」と呼ばれ親しまれています。八丈島における漁獲量は、平成2年までは年間約20~40tで推移していましたが、その後減少し、平成14年以降は1tを下回っています(図1)。
 漁獲量減少の原因の1つとして、マクサ、オバクサといったテングサ類など、餌となる海藻の減少が考えられています。

図1 八丈島におけるフクトコブシ漁獲量の推移

図1 八丈島におけるフクトコブシ漁獲量の推移

 

島しょセンターにおける漁期前調査について

 漁獲量が減少しているフクトコブシですが、島の人たちは毎年口開け(解禁)を楽しみにしています。そこで、島しょセンターでは、毎年夏の漁期前にフクトコブシの生息状況調査を行い、漁協などの関係機関に調査結果をお知らせしています。
 この調査では、1m×1mの方形枠を漁場に1~3ヶ所設置し、この範囲内にいたフクトコブシの生息個数、殻長(大きさ)、重量を調べています。その結果、今年は生息個数では5地点中3地点が前年を上回る結果が得られました。

写真1 調査風景 

写真1 調査風景 

 

今年の漁獲は?

 今年の漁期前調査の結果を受け、八丈島では7月中旬から8月下旬にかけて各地区でフクトコブシ漁が行われました。
 各地区の漁獲量は、三根307.6kg、中之郷51.3kg、大賀郷21.2kg、末吉3.8kgでした。
昨年と比較すると地区別では三根、大賀郷で増加、中之郷、末吉では減少しました(図2)。八丈島全体では383.9kgとなり、過去10年間でみると平成17年、18年に次ぐ3番目に多い漁獲量でした。
 島しょセンターでは今後もフクトコブシの資源維持のため調査を継続していきます。

図2 過去10年の地区別漁獲量の推移

 図2 過去10年の地区別漁獲量の推移