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島しょセンター八丈島教室を開催

 八丈事業所では、平成21年2月1日に第2回八丈島教室を開催しました。この八丈島教室では、当事業所の調査・研究の取り組み内容、成果を、わかりやすく漁業関係者や島民・都民の皆さんに紹介しております。第2回目となる今回は、八丈島商工会会議室において、多くの方々に参加いただき下記の3題について、発表を行いました。

1.黒潮流路とその予測について
 黒潮は世界最大規模の海流の1つで、九州の西から本州南岸に沿うように流れ、伊豆諸島海域を通過します。黒潮はいつも同じところを通るのではなく、様々に変化しながら流れています。特に蛇行が八丈島をはじめとする伊豆諸島の漁業に大きな影響を与えるため、漁業者関係者はこの蛇行のコース、規模に注目しています。2009年6月までの黒潮流路は、「八丈島の南側を通る規模の大きなC型流路で推移し、4~5月に一時的にB型流路となる」という予測が紹介されました。

写真1黒潮流路パターン

 

2.八丈島のテングサはなぜ減ったのか?
 テングサは寒天の原料海藻として知られていますが、八丈島のテングサは1980年代以降、急激に減少しています。当センターでのこれまでの研究の結果、八丈島のテングサは大島のものより生長が、葉の長さ、重さともにかなり劣っているということが分かりました。また、海藻の生長に影響を与える3要素(水温、光、栄養)のうち、近年の海況変動の影響により海の中の栄養が少なくなっていることが、テングサの生長不良に最も大きく影響していることが分かりました。

写真2テングサの潜水調査

写真2テングサの潜水調査

3.八丈島の海にすむサメたち
(サメの餌から観た漁業との関係)
 八丈島周辺の海には、9科30種に及ぶサメが棲んでおりますが、漁業へ被害を与える種類は5科15種でした。漁業被害金額は八丈島だけで年間2千万~1億円に及ぶと推定されました。出現するサメの種類は漁場によって異なり、沿岸で操業する漁業種類ほど出現種数が増える傾向が確認されました。また、食性調査から同じ漁場に出現するサメ類でも種によって、捕食している魚の割合が異なることも明らかになりました。サメ類の分布域と胃内容物の比較から、漁業被害は、漁業者とサメ類とで同じ資源を奪い合うパターンと、漁業活動によって、サメの分布域まで釣り上げられた餌生物(漁獲物)をサメ類が捕食するパターンの2つに分けることができました。

写真3捕獲したサメの引き上げ

写真3捕獲したサメの引き上げ

 今後もこのような発表会を通じて、多くの皆様に漁業や海のこと、さらに当事業所の研究成果について理解を深めていただけるように心がけてまいります。

写真4八丈島教室開催風景

写真4八丈島教室開催風景