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クサヤモロの漁模様

 クサヤモロは八丈島ではムロと呼ばれ、キンメダイ、トビウオ、カツオ等と並び重要な魚種です。90年代には600t程度の漁獲量だったものが2017年には60.9tまで減少しました(図1)。2018年には22t増加し、82.9tとなりましたが、過去2番目に少ない漁獲量でした。

 

図1 クサヤモロ漁獲量推移

図1 クサヤモロ漁獲量推移

 

 

2017年の大不漁

 八丈島では黒潮がN型基調だと小型魚主体(図3右)、C型基調だと大型魚主体になります(図2右)。大型魚は加入してきた小型魚が成長したもので、黒潮大蛇行時およびN型時には深場に生息していると推測されます。

(黒潮流路http://www.ifarc.metro.tokyo.jp/22,21690,45.html)

 通常だと小型魚が8月頃に来遊してきますが、2017年はC型海況であったために小型魚の加入がほとんど見られず、8月は大型魚主体の漁でした(図2左)。その後、8月末に12年ぶりの黒潮大蛇行に移行しました。10月のクサヤモロの尾叉長組成を見ると、C型基調のため小型魚の少なかった2015年に類似していましたが、30cm以上の大型魚が少ない傾向がありました(図2)。大型魚の大部分は黒潮大蛇行時に深場に移動したと思われます。小型魚が加入せず、一部浅場に残った大型魚しかいなかったので不漁になったと思われます。

図2 2017年(左)および2015年(右)の尾叉長組成

図2 2017年(左)および2015年(右)の尾叉長組成

 2018年の小型魚来遊

 2017年の秋以降、八丈島沿岸にはクサヤモロがほとんどいない状態が続いていましたが、2018年の8月頃には小型魚が八丈島近海に来遊してきました。尾叉長組成はN型基調だった2016年と同様に小型魚主体でしたが、20cm程度の小型魚がほとんど見られませんでした(図3)。

図3 2018年(左)および2016年(右)の尾叉長組成

図3 2018年(左)および2016年(右)の尾叉長組成

過去の大蛇行

 大蛇行時のムロ漁は蛇行規模が大きいと不漁になる傾向が見られます。今回の大蛇行は規模が大きく、長期化する可能性があります。このまま大蛇行が続くとすれば2019年は昨年と同様の魚体サイズ、漁模様になりそうです。