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  八丈島では、これまでに何度も害虫の大発生がありました。平成26年のマイマイガの大発生は、記憶に新しいところではないかと思います。昨年はマイマイガの発生が少なかったですが、主要な原因と考えられるのが八丈島に生息する「土着天敵」です。下の写真はその一部で、特に寄生バエは島内で非常に高い確率で確認されました。また昆虫以外にも、マイマイガの体内で増殖するカビやウイルス等の「天敵微生物」も活躍していました。

寄生バエの卵 寄生バチの繭と、ハチの幼虫に体内を食い尽くされたマイマイガ

寄生バエの卵                    寄生バチの繭と、ハチの幼虫に体内を

                                                               食い尽くされたマイマイガ

マイマイガ(成虫)を襲うキュウシュウクチブトカメムシ カビが生えて死んだマイマイガの蛹

マイマイガ(成虫)を襲う                カビが生えて死んだマイマイガのサナギ

キュウシュウクチブトカメムシ 

  天敵は、害虫の増加を防いだり、何らかの原因で増えすぎた害虫を減らしたりすることで、自然界のバランスを保つことに役立っています。 

農業と土着天敵    

  農薬は害虫防除に便利ですが、使い過ぎるとその薬が効かない害虫が増える等の問題が起きます。農薬の使用量を減らしながら効果的に害虫を防除する技術として、土着天敵の利用が注目されています。 

土着天敵を守る!農薬を選ぼう

 「昔の農薬はよく効いた」というはなしを聞くことがあります。すべての虫を殺す「非選択性」の殺虫剤が以前は多かったからですが、こうした農薬を使うと、かえって害虫が増えてしまうことがあります。これは「リサージェンス」という現象で、農薬が天敵にまで効いてしまうことが原因の一つです。そこで大切なのは、天敵にやさしい農薬を選ぶことです。例外はありますが、有機リン系やピレスロイド系の農薬には、天敵に影響が大きなものが多いです着ゃくでするえられるのが、いところではないかと思います。昨年、。成分が同じ農薬でも、水に溶かした剤を植物の上からかけると天敵に影響があるのに、粒状の剤を株元にまくと天敵への影響が少ないものもあります。農薬のラベル等をよく読んで特徴を理解し、上手に使いましょう。

土着天敵を増やす!バンカープランツ

 「バンカープランツ」は直訳すると「銀行員植物」で、「天敵を貯える植物=害虫の天敵の住みかとして栽培する植物」という意味です。ナスの周りにソルゴーを植えて、ナスの害虫の天敵であるヒメハナカメムシやクサカゲロウ、クモ等を増やす方法に、都内の多くの農家が取り組んでいます。ポイントは、農作物と共通の害虫が少ない植物を選んで栽培することで、八丈島にも応用できる技術です。

天敵を農業に活かそう

  今回は八丈島における事例としてマイマイガの天敵を紹介しましたが、他の害虫にも必ず天敵が存在します。天敵を畑の味方につけて、効率的に害虫を防除しましょう!

 身近な土着天敵 クモ

 身近な土着天敵 クモ