八丈事業所トピックスNo3八丈島における地域未利用資源の循環利用を目指して
八丈島における地域未利用資源の循環利用を目指して
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八丈農業を支えるフェニックス・ロベレニー(写真1)の生産現場では、多くの老朽木(ろうきゅうぼく)が出荷されずに圃場(ほじょう)に放置されている現状がみられます(写真2)。若木への更新には、老朽木(ろうきゅうぼく)の処分と活用が課題でした。また、水産業を支えるクサヤなどの製造では、多量の内臓が活用されずに廃棄(はいき)されていました(写真3)。このフェニックス・ロベレニー(以下,ロベ)およびクサヤ等の加工残渣(以下,残渣(ざんさ))を資源として循環利用するために混合堆肥化(こんごうたいひか)方法について検討しました。
写真1 フェニックス ロベレニー
残渣(ざんさ)とロベチップを混ぜて堆肥(たいひ)に
写真2 廃棄されたロベ老朽木
写真3 水産加工風景
残渣(ざんさ)はそのまま放置するとすぐに腐敗(ふはい)し,強い臭いを発生させます。しかし,米ぬかを混合し,発酵(はっこう)させることで臭いを低減でき,腐敗(ふはい)することもなく保存性の向上が可能となることがわかりました。また、米ぬかで処理した残渣(ざんさ)と、チップ化したロベチップ(写真4)を混合し3ヶ月間堆積(たいせき)すると、重金属含有量(じゅうきんぞくがんゆうりょう)も肥料取締法(ひりょうとりしまりほう)※1に基づく基準値以下の安心・安全な堆肥(たいひ)が出来ました(写真5)。
試作堆肥(しさくたいひ)の作物への効果は?
写真4 ロベチップ作成風景
写真5 試作堆肥
試作堆肥(しさくたいひ)の作物生育への効果を知るためにコマツナ、オクラ、サンダーソニアを用いて試験を行いました(写真608)。コマツナ、オクラおよびサンダーソニアでは試作堆肥(しさくたいひ)を施用(せよう)すると市販堆肥(しはんたいひ)と同等かそれ以上の収量を確保できました。
今回の方法で,廃棄処分(はいきしょぶん)されているロベ老朽木(ろうきゅうぼく)と水産加工残渣(すいさんかこうざんさ)を混合して堆肥化(たいひか)すれば,未利用資源から安全で作物栽培に有用な堆肥(たいひ)を作成でき,島内に普及可能な技術であることがわかりました。
写真6 オクラ生育試験 写真7 サンダーソニア
写真8 コマツナ生育試験
