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 皆さんは神湊(かみなと)漁港に停泊する「たくなん」という船をご覧になったことがありますか?(写真1)「たくなん」は漁業振興を目的とした調査、研究を行うため島しょ農林水産総合センターが所有する「調査指導船」です。八丈島から鳥島付近までの伊豆諸島南部海域における業務を担当し、運航は船長以下8名の船員で行い、必要に応じ研究員も乗船しています。
 今回は、この「たくなん」がどのような業務を行っているのかを紹介します。

写真1 調査指導船「たくなん」

写真1 調査指導船「たくなん」


 

海洋観測 ~海を調べる~

 「たくなん」では定期的に海洋観測を行い、八丈島周辺の海況(海水温や塩分、海流の状態などを総合した海の状態)を調べています(写真2)。八丈島周辺は黒潮の流路によって海況が常に変化しています。そのため、漁業者にとって海況の情報は漁法や漁場を決めるうえで重要です。この調査によって得られたデータから海況情報(「八丈海洋ニュース」など)を作成し、漁業者に最新の情報を提供しています。

写真2 海洋観測の様子

写真2 海洋観測の様子

 

試験操業 ~魚の動向を探る~

 また、「たくなん」では島の漁業にとって重要な魚種(キンメダイ、カツオ、ムロアジ、トビウオなど)の試験操業を行い、資源研究に必要な情報収集を行っています。
 調査では、漁獲した魚の生態を明らかにするため、体長や体重、胃の内容物などを調べたり、魚に標識を付けて海に放す「標識放流」を行い、回遊ルートを調べたりしています。
 このほか、カツオ漁の時期には、機動的な漁場探索を行い、その情報を漁業者に提供することで、漁業者が効率的に操業を行えるよう支援しています。
 

 

漁業取締 ~海の安心・安全を守る~

 さらに「たくなん」では、漁業者が安心して操業できるよう、海のパトロールともいえる漁業取締も実施しています。
 漁業取締では、行政機関とも連携し、違法操業船などを取り締まり、八丈島周辺海域の漁業秩序の維持に努めています。また、沖合で漁船の故障や海難事故が発生した際には救助活動にも携わり、海の安全の確保にも努めています。

 「たくなん」では、今後ともこれらの業務を着実に実施し、島の水産業振興に貢献していきます。