イシダイ


標準和名

イシダイ

学名

Oplegnathus fasciatus (Temminck and Schlegel)

地方名

オビジメ・タア(伊豆大島)、トウノヨ(八丈島)、シマダイ・ハス(北海道、東北、関西)

分類

スズキ目、イシダイ科、イシダイ属

形態

体は長円形で高く、側扁する。口吻が前方へ突出する。体色は銀灰色で、若魚では7本の幅広い黒色の横縞をもつ。成長するにつれて、オスではこの横縞が薄れ、口吻が黒化する。このような大型個体は「クチグロ(口黒)」と呼ばれ、釣り人の憧憬の的である。背ビレは1基で、尾ビレの後端は浅く二叉する。体長80cmを越える。

分布

我が国各地の沿岸岩礁帯に分布するほか、韓国、台湾にも生息する。ハワイでの採集記録もある。伊豆・小笠原諸島には、近縁のイシガキダイ Oplegnathus punctatus  (Temminck and Schlegel) も分布する。本種の若魚は、体側に小班点が散在することでイシダイと区別できる。イシガキダイの大型魚は口吻が白化し「クチジロ(口白)」と呼ばれる。小笠原ではイシガキダイが圧倒的に多い。また、両者の自然交雑魚と思われる個体がしばしば採集される。

生態

成魚は沿岸の波の荒い岩礁帯に生息しているが、幼魚は波の静かな港の中などでよく見られる。 産卵期は4月から7月で、水温20℃前後で行われる。卵は無色透明の球形で直径はは0.8mmから1.0mm。水温30℃で約36時間でふ化する。ふ化仔魚の体長は2mmから2.5mm。生後1年で体長約15cm、2年で約20cm、3年で約25cmに達する。体長40cmになるには6年を要する。産卵に参加するのはオスが満1歳(体長15cm前後)以降、メスが満2歳(体長20cm前後)以降。 雑食性で、底生動物や海藻類を食べる。大型魚では特にフジツボやウニなどを好む。

資源の利用と保全

漁業による漁獲は、定置網や潜水モリ突きなどで行われるが、伊豆・小笠原諸島での漁獲はごく少量である。本種は磯釣りの対象魚として人気が高く、伊豆・小笠原諸島は好釣り場として有名。このため、今後は観光産業振興の対象魚種としても大いに期待される。

調理法

刺身、塩焼き、煮魚など。やや磯臭いので、香辛料の利用など調理に工夫が必要。旬は夏季。
イシガキダイ
イシガキダイ
イシダイとイシガキダイの自然交雑魚
イシダイとイシガキダイの自然交雑魚