マクサ


標準和名

マクサ

学名

Gelidium elegans Kuetzing

地方名

テングサ(全国)

分類

テングサ目、テングサ科、テングサ属

形態

葉体はやや平たくて細い。主枝から羽状に出る枝はさらに分枝して複葉になる。枝は細く、円柱状もしくは多少扁平になる。枝は平面的に出るが、多くの枝が集合して株全体としては半球状に広がる。枝ぶりや葉形は生育する地方や場所により変異が大きく、他種との区別の難しいことが多い。株の高さ10cmから30cm。

分布

北海道西岸から本州、四国、九州、南西諸島にいたる日本列島各地と朝鮮半島に分布する。東京の海域では伊豆諸島沿岸の低潮線付近から水深20mくらいまでの岩礁地帯に普通に見られる。伊豆諸島におけるテングサ漁業の対象種は、マクサのほか、オオブサ Gelidium pacificum  Okamura (地方名:アラメ)、オバクサ Pterocladiella capillacea (Gmelin) Santelices et Hommersand 、ヒラクサ Ptilophora subcostata (Okamura) Norris 、オニクサ Gelidium japonicum  (Harvey) Okamura の5種であるが、そのうちマクサとオオブサが水揚げの主体となっている。

生態

テングサ類には、複相の四分胞子体と単相の配偶体があるが、形は全く同一である。雌性配偶体にできた造果器はそのままで雄性配偶体の造精器でつくられた不動の精子で受精し核が複相になり、これは果胞子体と呼ばれるが、単相の配偶体に複相世代の果胞子体が寄生した形になる。果胞子体は果胞子嚢を形成し、果胞子を放出する。果胞子は岩礁等に付着して発芽し、四分胞子体となる。四分胞子体は四分胞子嚢を形成し、ここから四分胞子を放出する。これが発芽して雌雄の配偶体となる。伊豆諸島における成熟期は5月から11月にかけてと考えられている。 マクサの繁殖には、胞子によるものの他に栄養繁殖によるものがある。栄養繁殖には座と称する匍匐枝によるものと、波浪等により基質から離れた藻体が岩礁の間等に挟まったりした場合に、岩に接した部分から根が出て固着し新たな藻体を形成する体枝の再生によるものがある。

資源の利用と保全

伊豆諸島のテングサの漁獲量は年間約350トンから700トンと、全国でも一、二を争う水揚げとなっている。採取されたテングサは陸に揚げられた後、真水にさらしながら天日で十分な乾燥処理を施し、寒天原藻として出荷される。

調理法

乾燥させたテングサを水に入れて煮沸し、残った繊維やごみなどを取り除き布で漉す。その後、適当な大きさの入れ物に入れ、冷やし固めた物がところてんである。
マクサ
マクサ
オオブサ
オオブサ

オニクサ
オニクサ