ハマダイ


標準和名

ハマダイ

学名

Etelos coruscans Valenciennes

地方名

オナガ・オナガダイ(東京)、アカチビキ(和歌山)、ヘイジ(高知)、アカマチ(沖縄)

分類

スズキ目、フエダイ科、ハマダイ属

形態

体は長い紡錘形でやや側扁し、尾柄部は細い。体は幅広く、目は大きい。背ビレの棘条部と軟条部との間に深い欠刻がある。尾ビレ後縁は深く二叉し、上下葉の後端は糸状に伸びる。体色は鮮紅色。体長1mに達する。

分布

南日本、西・中部太平洋、インド洋に分布する。東京の海域では、伊豆・小笠原諸島に広く分布する。

生態

東京都海域に生息するフエダイ科魚類の大半は、鳥島以南の亜熱帯域に見られる。小笠原海域の底魚類の大半ははスズキ目で占められるが、中でもフエダイ科魚類は種数・個体数で優占的地位にある。グループ毎に棲み分けがなされ、浅海域でヨスジフエダイ Lutjanus kasmira (Forsskal) を代表とするフエダイ属、水深50mから80m域ではウメイロ Paracaesio xanthura (Bleeker)等 のアオダイ属、水深80mから150m域のヒメダイ属 Pristipomoides そして水深200mから400m域ではハマダイ属 Etelis へと移行する。ハマダイの生息水深は100mから600mで、中心は200mから400mである。同属にはハチジョウアカムツ Etelis carbunculus、Cuvier、 オオクチハマダイ Etelis radiosus Anderson がある。 ハマダイの産卵期は7月から10月と考えられるが、冬季に放精する個体もみられる。肉食性でヒカリボヤ類、イカ類のほかハダカイワシ類を食べる。

資源の利用と保全

ハマダイは伊豆諸島南部、小笠原海域の重要資源であり、主として一本釣りで年間90トンから130トン程度が漁獲されている。しかし近年は漁獲量の減少が著しい。小笠原が日本に返還された当初、それまでの戦時下および米軍占領下で20余年の不出漁期間があったため、魚類資源は非常に豊富であった。通常一組の漁具に10本ほどの釣り鈎をつけた道具を投入するが、仕掛けの着底と同時に当たりがあり、漁具が水面近くまで来ると、腹を上にしたハマダイが釣り鈎の数だけ一斉に浮き上がる光景は実に圧巻であったという。しかし漁獲強度が高まるにつれて資源の減少がすすみ、現在、漁獲量は最盛期の3割近くにまで落ち込んでいる。

調理法

刺身用の高級魚。産卵をひかえた夏が食べ頃。白身で、刺身はこりっとした歯ごたえがある。皮の赤色が鮮やかなため、マダイの代わりに姿作りにして祝い事に使われる。刺身のほか、塩焼きや煮付けにしたり、鍋の具にもする。皮の湯引きは絶品である。
オオクチハマダイ
オオクチハマダイ
ハチジョウアカムツ
ハチジョウアカムツ

ヒメダイ
ヒメダイ