カンパチ


標準和名

カンパチ

学名

Seriola dumerili (Rosso)

地方名

アカハナ・アカバナ(西日本)、ウキムル(沖縄)

分類

スズキ目、アジ科、ブリ属

形態

体は紡錘形で、ブリ類(ブリ Seriola quinqueladiata Temminck and Schlegel、 ヒラマサ Seriola lalandi  Valenciennes、カンパチなど)の中では体高がやや高い。ブリによく似るが、頭部に眼を通る黒色の縞があることで区別できる。この縞模様が頭の上から見ると、漢字の「八」の字に見えるので「間八」「勘八」などと呼ばれる。また、ごく近縁種にヒレナガカンパチ Seriola rivoliana Valenciennes があり、カンパチとよく似ている。しかし、ヒレナガカンパチでは背ビレと臀ビレの前部軟条が鎌状に延びることや、尾ビレ下葉の先端が白くならない。このほか、背ビレ軟条数がカンパチは32本から33本、ヒレナガカンパチは19本から21本であることなどにより区別できる。カンパチは体長2m、体重80kgに達する。

分布

北海道を除く日本沿岸各地に生息、来遊するが、日本海側では少ない。台湾、東シナ海から南太平洋にかけて分布する。一般にブリよりも暖かい海を好む。伊豆・小笠原諸島では普通に見られるが、北の海域ほどカンパチが優先し、伊豆大島ではカンパチの割合が高い。南に行くにしたがってヒレナガカンパチが増え、小笠原ではカンパチよりもヒレナガカンパチの方が圧倒的に多い。

生態

沿岸から沖合の浅海域に生息する。ダイバーの吐く気泡や排気音に誘因されるようで、ごく近くまで接近することも珍しくない。 産卵期は春から夏で、小笠原では水温が21℃前後に上昇すると産卵が始まる。卵は球形で、直径1mm前後の分離浮性卵である。水温21℃では約40時間でふ化する。ふ化仔魚の全長は約3mm。ふ化後30日で全長20mm程度に成長する。小笠原では本種の種苗生産がすでに確立しており、この技術レベルは非常に高い。小笠原島漁協で養殖したものでは、ふ化後1年で体重約3kg、2年では8kgから10kgにまで成長する。小笠原ではふ化後2年で成熟・産卵する。

資源の利用と保全

伊豆・小笠原諸島では、定置網や釣り、延縄などで年間4トンから7トン程度が漁獲されている。、また、ゲームフィッシングの対象種として人気が高く、ジギングで狙う釣り人が多い。最近では、価格低迷のブリに代わって本種の養殖が西日本を中心に盛んに行われている。

調理法

ブリ類では最も高価である。高級食材として、生鮮向けの出荷がほとんどである。ここ数年、本種の養殖が盛んに行われていることから、小売りで店頭にも並ぶようになった。
ヒレナガカンパチ
ヒレナガカンパチ
ヒラマサ
ヒラマサ

ヒレナガカンパチの産卵用親魚
ヒレナガカンパチの産卵用親魚