シマアジ


標準和名

シマアジ

学名

Pseudocaranx dentex (Bloch and Schneider)

地方名

シマイサギ(関東)、オオカミ(大型魚:関東)、コセ・ソジ(和歌山)、コセアジ(高知)、ソウジ・クチトガヤー(沖縄)

分類

スズキ目、アジ科、シマアジ属

形態

体は側扁し体高が高い。体高は体長の約1/3。体の背部は暗青色で腹部は白色。生時には、体側中央部に吻から尾柄部まで黄色の縦帯が走る。この黄色縦帯は老成すると不明瞭になる。近縁種には、カイワリ Kaiwarinus equula  (Temminck and Schlegel) や ヒラアジCarangichthys dinema  (Bleeker) がいる。カイワリはシマアジより体高が高く、ヒラアジはシマアジより第2背ビレと臀ビレの前部が長い。

分布

東部太平洋を除く全世界の暖海に分布する。日本では、岩手県以南の太平洋岸、沖縄、小笠原、および能登半島以南の日本海に分布する。東京の海域では、伊豆・小笠原諸島で普通に見られる。

生態

小笠原では水温が22℃前後に下降する12月になると産卵が始まり、3月初旬まで続く。卵は直径0.9mmから1.0mmの分離浮性卵である。産卵後、ふ化するまでの時間は水温20℃から22℃で36時間から45時間である。ふ化直後の仔魚は全長2.5mmで、ふ化後約50日で30mm程度まで成長し、成魚と似た体形となる。小笠原の養殖シマアジは、1年で体長30cm、体重800g、2年で40cm、2kgに達する。 肉食性で、魚類や小型のエビ類やアミ類などを摂食する。魚礁によく付き、周辺に群がる小魚やアミ類を集団で捕食する。また、若魚の群れは水深5m前後のごく浅い沿岸の砂底域にも出現し、口から水を吹いて海底の砂を巻き上げ、砂中に生息する底生生物を捕食する。 飼育環境下では水温18℃以上で活発に摂餌するがこれ以下では摂餌量が落ち、14℃を下回ると摂食しなくなる。また、12℃以下の水温が長期にわたって続くと、死ぬといわれている。

資源の利用と保全

伊豆・小笠原諸島では、主に一本釣りによって年間4トンから7トン程度漁獲されているが、資源量は少なく、まとまって漁獲されることは少ない。美味な高級魚として主に刺身や鮨種用の生鮮向けに出荷されているが、一部切り身にして西京漬けなどの加工用にもまわされることがある。小笠原島漁協では、シマアジ稚魚の種苗生産事業を行っており、主に西日本の養殖場に出荷しているが、小笠原のシマアジは成長が早いので養殖業者から高い評価を得ている。

調理法

刺身、鮨種にするのが一番美味である。生姜を薬味にすると格別である。みりん、酒、醤油のたれに漬け込んだものを島鮨風ににぎったり、丼物のネタにする。塩焼き、照り焼き、あら煮のほか椀種にしてもおいしく食べられる。
小笠原父島のシマアジ養殖イケス
小笠原父島のシマアジ養殖イケス
シマアジの産卵用親魚
シマアジの産卵用親魚

シマアジの仔魚。ふ化後9日目(体長4.5mm)
シマアジの仔魚。ふ化後9日目(体長4.5mm)