マダコ


標準和名

マダコ

学名

Octopus vulgaris Cuvier

地方名

特になし

分類

八腕形目,マダコ科,マダコ属

形態

外套膜は卵形をしており全長60cm、体重約3kgに達する。イカのように軟甲はなく、硬組織は頭蓋軟骨とクチバシ(顎板)だけである。8本の腕は筋肉質で、雄の第3腕は交接腕となっており、先端が変形している。体色は赤褐色であるが、周囲の状況に応じて、自由に体色や皮膚の凹凸を変化させることができる。

分布

全世界の熱帯・亜熱帯の外洋域に生息する。日本では太平洋側で三陸以南、日本海側で北陸以南から九州付近まで分布する。伊豆諸島では大島から三宅島に分布するが、三宅島では極めて少なく、八丈島以南ではみられない。マダコ以外のタコ類として、伊豆諸島ではシマダコ Octopus ornatus Gould やアミダコ Ocythoe tuberculata Rafinespue なども採集されている。

生態

沿岸の砂地や岩礁域に生息し、岩の穴や転石の下を巣として主に夜間活動する。胴の中の水を漏斗からはき出して素早く水中を移動する。敵から身を守るために煙幕状の墨を吐いて外敵から身を守る。 産卵期は5月から10月で、雄は第3腕から精子の入ったカプセル(精莢)を雌の胴内に挿入する(交接)。雌は交接後、14日から20日後に10万個から15万個の卵を産む。卵は長さ2.5mm、幅1mmほどの楕円形で、腕を器用に使って、卵を房状の卵塊として産卵床(巣穴など)の天井に付着させる。多くの卵塊がつり下がった様子は、藤の花に例えられ、海藤花と呼ばれる。ふ化までは1ヶ月程度かかり、この間、雌は産卵床に残り、餌もほとんど獲らずに卵を守り、卵塊に新鮮な海水を送り込み続ける。寿命は1年から2年、雌はふ化を見届け斃死する。ふ化した幼生は、1ヶ月ほどの浮遊期間を経て底生生活に入る。肉食性で貝類や甲殻類を好み、唾液腺からは甲殻類を麻痺させる分泌物を出し捕食する。ヒョウモンダコ Hapalochlaena fasciata (Hoyle) の分泌物は、人を麻痺させるほどの毒があるので、注意が必要である。

資源の利用と保全

タコは性質を利用したタコ壺漁が有名。伊豆諸島ではマダコを対象とした漁業はなく、潜水漁業などで獲られることが多く、地ダコとして寿司屋等で珍重されている。八丈島や小笠原ではワモンダコ Octopus cyanea Gray が一般的に見られ、小笠原ではアナダコ Octopus oliveri  (Berry) が食用に利用されている。また、東京湾のイイダコ Octopus ocellatus  Gray も遊漁の対象として利用されている。

調理法

塩もみしてぬめりをとり、茶葉のなかで茹でてから食べるゆでだこが一般的。新鮮なものは刺身でも美味しく、煮ダコ、おでんの具、カルパッチョなど様々な料理に利用される。もちろん、たこ焼きにはかかせない。小笠原で食べるアナダコの唐揚げも美味しい。
シマダコ
シマダコ
アミダコ
アミダコ